刀剣や甲冑をはじめとする武器・武具類は、実戦で用いられるのと同時に、武威や家格を誇示する宝物として珍重され、鑑賞の対象とされました。優れた工芸技術と武家文化の隆盛を背景に、刀などの武器・武具は日本独自の発展を遂げ、今日では「サムライ・アート」とも称されます。現代に伝わる武士の遺愛の品は、消費され失われた実用品とは一線を画し、いずれも武士の美意識や匠のこだわりを反映しており、贅を尽くした逸品といえます。また、歴史上の戦や軍記物語を題材とした合戦絵や武者絵には、武具甲冑を身に帯び、刀を振るって戦う侍の勇姿が溌剌と描かれています。本展では当館の収蔵品を中心として、刀剣、刀装具、甲冑、兜などを一堂に展覧するとともに、絵画資料に描かれた武士の姿を紹介し、「サムライ・アート」の魅力に迫ります。
第1章──紫電一閃!サムライの魂、刀剣
我が国独自の鍛治技法で製作された日本刀は、一千年以上の伝統を有しています。機能性を追求した刀剣はまさしく鉄の芸術品であり、一切の無駄を省いたそのかたちや、地鉄・刃文に特有の美を見出し、鑑賞の対象とされました。刀剣は自家の格式や権威を象徴する品として尊ばれ、公の場での贈答や社寺への奉納にも用いられました。本章では、当館所蔵の刀剣コレクションを中心に、平安時代から江戸時代にかけての刀剣を展観し、燦然と輝く刀剣の美をご堪能いただきます。
第2章──武具繚乱!サムライの装い
武士の命を守る武具甲冑・兜などは、桃山時代から江戸時代にかけて家柄や威容を表す意匠が施されるなど実用性を超えて洗練度をまし、注文した武士の美意識を反映するものとなっていきます。そうした武具の制作には様々な分野の多くの職人が関わり、熟練の技術と手間を惜しみなく注いで武士の求めに応じました。本章では武士の装いを今に伝える大名家ゆかりの甲冑、兜、陣笠、陣羽織などの武具類に加え、拵・鍔等の刀装具、そして江戸時代を通じて武士の装身具、愛玩・贈答品として発展した印籠を展示します。現代に伝えられる武士のこだわりの美を感じていただければと思います。
第3章──英姿颯爽!描かれたサムライ
歴史の転換点となった戦は古くより、『平家物語』などの軍記物語をもとに、さまざまな画面形態で描かれました。室町時代以降、合戦図は屏風の大画面に描かれるようになり、江戸時代には複数場面を組み合わせた作例や、著名なワンシーンを抜き出した作例など、多様な合戦図屏風が制作されました。
合戦図屏風で好まれた主題は浮世絵でも人気を博し、武者絵という一大ジャンルを形成しました。とりわけ、「武者絵の国芳」と謳われた歌川国芳とその門下による作例には、自由な画想によって描かれた躍動的な武士の姿を見ることができます。本章では、江戸時代の源平合戦図屏風や武者絵とともに、明治時代以降の作例をあわせて紹介し、時代を超えて描き継がれた侍のイメージをたどります。
エピローグ──サムライが愛した美の伝承
明治以降、武士の時代の終焉とともに刀剣や武具甲冑、印籠などは注文主を失って急速に不遇の時代を迎えることとなりました。そうした厳しい時代状況の中で、日本刀は日本独自に育まれた美と技術を伝承するため、美術刀剣として新しい出発をし、刀鍛冶や研ぎ師、刀装具の職人が伝統を未来につなぐために日々制作に取り組んでいます。エピローグでは現在第一線で活躍する刀匠による刀剣を展示し、現代に伝承されるサムライの美をご覧いただきます。
ピックアップ記事はございません。
『サムライ・アート展』作品紹介(7)
キリル文字のワークショップを開催
マルテニッツァ作りを開催
福袋を販売します
アート・ドキュメンテーション学会 第17回(2024年度)秋季研究集会を開催
ヴァイオリン&アコーディオンライブを開催
『サムライ・アート展』作品紹介(6)
ダンスワークショップを開催
『サムライ・アート展』作品紹介(5)
小中学校団体鑑賞レポート/八王子市立恩方第一小学校
『サムライ・アート展』後期展示が始まりました
『サムライ・アート展』作品紹介(4)
山美イレン先生のブルガリア刺繍ワークショップを開催
小中学校団体鑑賞レポート/八王子市立加住小中学校小学部
『サムライ・アート展』作品紹介(3)
敦煌研究院前院長一行が来館
当館開館記念日(11月3日)に記念品をお配りします
『サムライ・アート展』作品紹介(2)
『サムライ・アート展』限定スイーツプレートが登場!
サムライ・アート展開催記念「富士美茶会」を開催
『サムライ・アート展』作品紹介(1)
中国美術家協会常務副主席が来館
駐日ブルガリア共和国大使館にて「大使館の美術Ⅲ」の記者発表会を開催
「サムライ・アート展」が公開
愛しのマン・レイ
大使館の美術展 IV ―文化交流随想― ペルー共和国大使館
アンドレ・ケルテス展〜前衛写真の萌芽
西洋絵画 ルネサンスから20世紀まで
ジュエリーコレクション
《タヴォラ・ドーリア》特別展示