大正時代/絹本着色 軸装
129.0×50.0cm
SUMMARY作品解説
ワラビの生えた野原の上に立つ雌雄一対の雉と垂れ下がる糸桜。シンプルな構図であるが、前景の野原の色を省き、背景の幹をぼかして、雄雉の頭を中心にレンズのピントを合わせたような効果が見られ、省亭独特の近代的で瀟洒な美感を汲みとることができる。また色の出し方について、省亭自身が表具屋に講釈したというエピソードも残っているが、本作においても雄雉に鮮やかな赤と濃密な緑を使い毛並みの斑にいたるまで丹念な仕上げがなされている。
ARTIST作家解説
渡辺省亭
Watanabe Seitei1851-1918
江戸神田(現在の東京都千代田区)に生まれる。本姓は吉川。名は義復。16歳で菊池容斎に入門。柴田是真にも私淑する。22歳の時、父の同胞である渡辺家の養子となり渡辺姓を名乗る。明治8年(1875)より起立工商会社にて輸出工芸品の図案の仕事に従事する。同10年(1877)の第1回内国勧業博覧会で省亭が芭蕉山鳥を画した同社製の花瓶が花紋賞牌を受賞。自身も《群鳩欲水盤ノ図》(フリーア美術館蔵)を出品する。翌年、パリ万国博覧会に合わせ渡欧。2年ほど滞在しドガやゴンクールなどとも交わりをもつ。帰国後、内国勧業博覧会、アムステルダム万国博覧会に出品。同23年(1890)、版本『省亭花鳥画譜』を発行。同26年(1893)にはシカゴ万国博覧会に《雪中群鶏図》(東京国立博物館蔵)を出品し反響を呼んだ。これ以後は画壇から遠ざかり、国内外から注文を受けながら粛々と画業に勤しんだ。66歳で没。
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INFORMATION作品情報
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