昭和27年(1952)/絹本着色 軸装(三幅対の内)
53.0×71.5cm
SUMMARY作品解説
昭和27年(1952)年2月に東京・京橋の兼素洞において開催された「第1回雪月花展」出品作。本作は同展で花を担当した大観が描いた2点のうちの一つで、京都祇園にある円山公園の枝垂れ桜をモティーフに描いたもの。春の薄やみの中、立ちのぼる二条の篝火の明かりによって浮かび上がってくる桜の優艶な姿がドラマチックに描き出されている。かつて大観は同5(1930)年のローマでの日本美術展に六曲一双屏風の《夜桜》(大倉集古館蔵)を出品しているが、この時の典雅で清明な趣とは異なり、本作はむしろ幽玄で、大観が愛蔵していた冨田溪仙の《祇園夜桜》(横山大観記念館蔵)に着想を得たといえるだろう。老年ながらも心底にたぎる浪漫を感じさせる晩年の傑作といえる。
ARTIST作家解説
横山大観
Yokoyama Taikan1868-1958
茨城に生まれる。東京美術学校1期生として入学。明治31年(1898)、師・岡倉天心に従い日本美術院創設に参加し、西洋画の技法に示唆を得た没線描法による作品を発表。後、院の移転に伴い、茨城県五浦に移住。大正3年(1914)には天心の遺志を継ぎ、院を再興。生涯師の理想実現のため創意模索し、独自の気宇広大な世界を確立した。昭和12年(1937)に第1回の文化勲章を受章。
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