昭和27年(1952)/絹本着色 軸装(三幅対の内)
54.5×72.5cm
SUMMARY作品解説
本作は「第1回雪月花展」の出品作。雪月花展は東京・京橋の画廊兼素洞で開催された企画展で、昭和27年(1952)から3年にわたり毎年1回行われた。同展は横山大観、玉堂、川端龍子が「雪月花」それぞれの画題を担当し、2点ずつ作画するというもので、第1回展では玉堂が雪、龍子が月、大観が花を担当した。玉堂が描いた雪といえば《宿雪》(日本芸術院蔵)や《深林宿雪》(岐阜県美術館蔵)があるが、晩年、奥多摩へ疎開してからも雪は変わらず彼の主要画題であり続けた。本作では雪かきに精をだす親子の姿と水車小屋を中心に、靄の立ちこめる静かな山村の朝を温情豊かに捉えている。雪に加え、点景人物・水車・靄といった玉堂芸術の重要な要素を網羅した最晩年の優品といえる。
ARTIST作家解説
川合玉堂
Kawai Gyokudo1873-1957
愛知に生まれる。14歳で京都に出て望月玉泉に師事。明治23年(1890)、第3回内国勧業博覧会で入選。同年、幸野楳嶺門に移る。同28年(1895)、第4回内国勧業博覧会で《鵜飼》(山種美術館蔵)が3等銅牌を受賞。会場で目にした橋本雅邦の《龍虎図》(静嘉堂文庫蔵)に感銘し、上京を決意。以後、雅邦に師事する。同31年(1898)、雅邦と共に日本美術院創設に参加。第1回文展から第12回展まで審査員を務め、《行く春》(東京国立近代美術館蔵)など力作を出品。私塾・長流画塾では300名を超える塾生の指導にあたった。以後も官展を舞台に活躍。昭和15年(1940)、文化勲章を受章。戦中からは奥多摩に身を移し、四季折々の身近な山村風景を描き続けた。
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