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SUMMARY作品解説

褐色の前景、緑の中景、そして青いパノラマ的遠景という微妙に変化する淡い色彩の段階的な移行を用いた完璧な空気遠近法と古典的な構図の中に、物語性をほのめかす人物を配したロランのごく初期の風景画。 拡散する光が空間を満たし、深い静寂感の中に見る者を瞑想の世界へと誘う。ローマ近郊の田園地帯(カンパーニャ)の実在する風景をもとに描いたと考えられる本作は、厳密な自然描写による風景と思われるため、詩的で理想的な風景画を人為的に構成したロランらしい表現ではないという見方もできよう。しかし、彼の名高い素描と同様、油彩画においても正確な自然描写はこのように厳然と存在している。ここと同じ場所を描いたものに、ロランとの相互関係が注目されるオランダの画家ブレーンベルフの大型の素描(ルーヴル美術館)があり、この場所が人気のある写生場所であったことは間違いない。また繊細に描かれた群葉、川岸に生い茂っている低木や潅木、さらに人物描写等には彼独自の特徴が見られる。 この画面に表現された人物から推定すると、描かれた物語は古代ギリシア神話に登場する一挿話<アモルとプシュケ>であろう。愛(アモル)が魂(プシュケ)を求める寓話で、物語はこうである。 「美貌の王女プシュケにアモルが恋をし、何も知らない彼女は谷間の宮殿に導かれ、人間の姿をしたアモルと夫婦になる。二人はいつも暗闇の中で会ったので、彼の正体は秘められていたが、ある時つい眠るアモルの姿を見てしまう。アモルは怒り、宮殿は消えて、プシュケは世界を彷徨う・・・。」 前景中央の座っている女性がプシュケで、恋人アモルに見放されて深いもの思いに沈んでいるところを農夫に慰められている場面。周囲を取り囲まれたような印象のあるこの川面の場所は、物語に出てくる幻の宮殿があった谷間を連想させる。

ARTIST作家解説

クロード・ロラン(クロード・ジュレ)

Claude Lorrain (Claude Gellée)1604/05-1682

フランス東部のシャマーニュに生まれる。早くに両親を亡くして孤児となったロランは、若くしてローマへ赴き、後に画家アゴスティーノ・タッシの工房で学び、ローマの地で風景画家となった。同時期にローマで活躍したフランス人画家ニコラ・プッサンとも交友があり、ローマ近郊のカンパーニャにスケッチに出かけたとも伝わる。北方画家の様式からも影響を受け、画面の片側に木々の茂み、片側には空気遠近法を用いて開放的な空間を描く非対称的な構図を取り入れた。また微妙な光の効果を巧みな陰影描写をもって描き出し、彼独自の詩情豊かな風景画を確立した。プッサンとともに歴史画にも取り組んだが、ロランはあくまでも風景に主眼を置くスタンスを貫いた。

同じ作家の作品一覧

INFORMATION作品情報

出品歴

2020年5月26日 (火)~8月16日 (日)

フランス絵画の精華 ー大様式の形成と変容 大阪市立美術館(大阪、大阪市)

2020年2月4日 (火)~3月29日 (日)

フランス絵画の精華 ー大様式の形成と変容 九州国立博物館(福岡、太宰府市)

2019年1月12日 (土)~5月4日 (土)

西方絵画500年 上海宝龍美術館(中国、上海)

2018年10月23日 (火)~12月23日 (日)

西方絵画500年 清華大学芸術博物館(中国、北京)

2011年9月3日 (土)~10月23日 (日)

森と芸術 札幌芸術の森美術館(北海道、札幌市)

2011年7月30日 (土)~8月28日 (日)

森と芸術 福井県立美術館(福井、福井市)

2011年4月16日 (土)~7月3日 (日)

森と芸術─私たちの中にひそむ森の記憶をたどってみよう 東京都庭園美術館(東京、港区)

2003年4月18日 (金)~5月25日 (日)

美の巨匠たち 西洋絵画〜400年〜 福岡市美術館(福岡、福岡市)

2002年10月5日 (土)~11月4日 (月)

西洋の美・日本の美展 モネ、ルノワール、セザンヌ… 池大雅、谷文晁ほか 島根県立美術館(島根、松江市)

2002年9月7日 (土)~9月29日 (日)

東京富士美術館の名品 西洋絵画の400年 そごう美術館[横浜駅東口/そごう横浜店6階](神奈川、横浜市)

2002年7月20日 (土)~8月31日 (土)

夏休み・親子で学ぶ東西の名画展 富士美術館(静岡、富士宮市)

2002年5月16日 (木)~6月23日 (日)

西洋絵画の400年 ヴァン・ダイク、ターナー、モネ、モディリアーニら巨匠たちの競演 熊本県立美術館・本館(熊本、熊本市)

2000年10月1日 (日)~12月3日 (日)

西洋名画展—ルネサンスから20世紀 国父記念館(台湾、台北)

1997年10月14日 (火)~11月30日 (日)

西洋絵画名作展 香港芸術館(中国、香港)

1992年10月16日 (金)~11月5日 (木)

西洋絵画名作展—ルネサンスから印象派、20世紀の絵画 中国美術館(中国、北京)

1990年11月3日 (土)~12月2日 (日)

西洋絵画名品展 湖巖美術館(韓国、京畿道龍仁郡)

1990年9月22日 (土)~10月21日 (日)

西洋絵画名品展 中央日報・湖巖ギャラリー(韓国、ソウル)

来歴

Provenance: Goudstikker Coll., Amsterdam (as Claude) Sale Mak, Amsterdam 28 Jan. 1941 (8, repr. ) (as Claude) Anon. Sale, Christie’s, 20 May 1966 (152) (as Swanevelt) When bt. For the present owner Exhibited: London, Hayward Gallery, Newcastle, Laing Art Gallery, The Art of Claude Lorrain; catalogue by M. Kitson, 1969, no.7 repr. Munic, Haus der Kunst, catalogue by M. Roethlisberger, 1985, no.9 repr. Im licht von Claude Lorrain,

参考文献

Literature: M. Roethlisberger, “Additions to Claude”, in Burlington Magazine CX, 1968, p.116 M. Roethlisberger, “De Bril à Clade Tableaux inédits”, in Revue de l’Art 5,1969, 50-60, repr. L. Gowing, Nature and the Ideal in the Art of claude, in Art Quarterly 37, 1974, 92,repr. M. Roethlisberger, L’opera Completa di Claude Lorrain, Milan, 1975, no.18, colour plate M. Roethlisberger, Tout l’ œuvre peint de Claude Lorrain, Paris 1977, no.17, colour plate, new edition Paris,1986, no.3, repr. Galleria Gaparrini, Plazzo Rumpoli Rumpoli, Rome, catalogue1986, p.20, colour plate

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