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COLLECTION DETAILS収蔵品詳細

駿河由比町(「東海道風景選集」より) Yui, Suruga, from the Series "Selection of Views of the Tokaido"

昭和9年(1934)/木版多色刷

36.3×24.3cm

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教育 非商用 商用

SUMMARY作品解説

「駿河由比町」は、昭和6年(1931)から同22年(1947)にかけて制作された「東海道風景選集」シリーズ26枚のうちの一枚。由比は現在の静岡市清水区に位置する。本図に描かれているのは、東海道五十三次の16番目の宿場として知られる由比宿である。街道沿いに立ち並ぶ家屋には、江戸時代の宿場町の面影が感じられる。遠景には赤く染まり始めた空を背景に、雪化粧の富士山が堂々とした姿で描き出されている。 この由比宿から次の興津宿へ向かう道中の薩埵峠(さったとうげ)は、東海道最大の難所の一つであるとともに、富士を眺める絶景スポットとしても知られている。由比を描いた作品としては、歌川広重の「東海道五拾三次」が知られるが、広重は由比を描く際に険しい薩埵峠からの富士の眺望をモチーフとした。 巴水は、本図で由比を描くにあたって、有名な薩埵峠ではなく、由比の宿場町の風景を選択した。富士を背景にした情趣ある町並みが清澄な空気とともに巧みに表現されており、「旅情詩人」と呼ばれた巴水らしさが画面に溢れている。

ARTIST作家解説

川瀬巴水

Kawase Hasui1883-1957

東京に生まれ、同地で没する。本名は文治郎。白馬会洋画研究所で洋画を学び、岡田三郎助に指導を受ける。明治43年(1910)鏑木清方に入門。同門の伊東深水『近江八景』に触発され、大正3年(1914)から新版画の制作に手をそめる。同年渡邊版画店から「塩原おかね路」など版画3点を出版。同9年(1920)の『旅みやげ第1集』で版画家としての地位を確立する。「東京十二題」(大正8年)、「日本風景選集」(昭和元年)など、一貫して風景版画に取り組み続け、旅情・叙情溢れる新境地を開拓した。昭和28年(1953)には文化財保護委員会により、「増上寺の雪」の制作過程が記録された。

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