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COLLECTION DETAILS収蔵品詳細

青い背景の太陽 The Rising Sun with Blue Background

1962年/油彩、板

57.5×45.0cm

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教育 非商用 商用

SUMMARY作品解説

ここで描かれているのは山間から顔を出したばかりの朝日であろうか。太陽を示す黄色の円からは光芒が差すように一筋の光が下へ伸びている。また画面中ほどを区切るように横たわる水色と黄色の線は水面を思わせ、反射した太陽を映し出しているようだ。線の下部は水中、最下部は水中のさらに深部を示しているようにも見える。いずれにしても全体の構図を直線や曲線を用いて幾何学的に処理しており、1950年代以降のエルンスト作品にしばしば見られる傾向を示している。エルンストはグラッタージュ(画布の下に凹凸のある物を置き、画面を研磨し質感を出す技法)、デカルコマニー(画面上の絵具にガラス板などを押し当ててできた染みを使った技法)など、多くの絵画技法を取り入れてきたが、本作では1950年代後半以降に見られる、パレットナイフを使って切り子面状のマチエールを描き出す手法を用いている。真ん中に掲げられた太陽やその周囲にも無数のパレットナイフの跡が確認でき、そこには淡い色斑のような独特の質感が見られる。本作の支持体に板が使われているのもこの技法自体の効果を高めるためかもしれない。とはいえ、小気味よく落ち着いたトーンでまとめられた画面を見渡すと、晩年期に入った作家の最大の関心は、太陽の光による大気のゆらめきの描写に置かれているように見受けられる。

ARTIST作家解説

マックス・エルンスト

Max Ernst1891-1976

ケルン近郊の町ブリュールで生まれる。高校時代から独学で絵を描き、1910年、ボン大学の哲学科に入学。この頃からパブロ・ピカソやジョルジォ・デ・キリコに関心を持ち、表現主義的な絵画を描くようになる。1914年から18年にかけて第一次大戦のため兵役に服す。帰還後、ケルンでハンス・アルプらとダダ運動を開始。独自のコラージュ作品を手がける。1922年にパリへ移り、シュルレアリストとして活動を始め、1925年、床板を擦ってマチエールを出す独自の技法であるフロッタージュを発案する。1929年から34年にかけて『百頭女』をはじめとするコラージュ・ロマン(小説)三部作を発表。この頃、作品の中に自身と重ね合わせた存在として鳥の頭と人間を組み合わせたロプロプを登場させるようになる。1941年、ナチスに追われて渡米。アメリカの地で試みたオッシレーション(穴の空いた缶に絵具を入れ、揺らしながらカンヴァスに着彩していく技法)は、後に生まれたアクション・ペインティングへ啓発を与えた。1953年にパリに戻る。1954年のヴェネツィア・ビエンナーレで大賞を受賞。晩年も版画や挿絵を中心に幻視的かつ幻想的な図像を展開し続けた。

同じ作家の作品一覧

INFORMATION作品情報

出品歴

2012年10月28日 (日)~12月16日 (日)

マックス・エルンスト─フィギュア×スケープ 宇都宮美術館(栃木、宇都宮市)

2012年7月13日 (金)~9月9日 (日)

マックス・エルンスト─フィギュア×スケープ 愛知県美術館(愛知、名古屋市)

2012年4月7日 (土)~6月24日 (日)

マックス・エルンスト─フィギュア×スケープ 横浜美術館(神奈川、横浜市)

2003年4月18日 (金)~5月25日 (日)

美の巨匠たち 西洋絵画〜400年〜 福岡市美術館(福岡、福岡市)

2003年1月2日 (木)~2月2日 (日)

マン・レイとシュルレアリストたち展 魔法の美術 不思議なアート 北九州市立美術館(福岡、北九州市)

2002年10月12日 (土)~11月10日 (日)

西洋名画への招待展 バルビゾンからモダーンまで 網走市立美術館(北海道、網走市)

2002年9月7日 (土)~9月29日 (日)

東京富士美術館の名品 西洋絵画の400年 そごう美術館[横浜駅東口/そごう横浜店6階](神奈川、横浜市)

2002年7月20日 (土)~9月1日 (日)

近代ヨーロッパ美の巨匠たち—ドラクロワからピカソまで—展 印象派への招待 飛騨高山美術館[企画展示室](岐阜、高山市)

2002年5月16日 (木)~6月23日 (日)

西洋絵画の400年 ヴァン・ダイク、ターナー、モネ、モディリアーニら巨匠たちの競演 熊本県立美術館・本館(熊本、熊本市)

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