
新館・常設展示室にて開催中の「東京富士美術館所蔵西洋絵画 ルネサンスから20世紀まで」では、現在、レオナール・フジタの『魅せられたる河』シリーズのエッチング作品15点を展示しています(6月21日まで)。
『魅せられたる河』は1951年に限定315部で刊行された挿絵本で、著者はパリ市立プティ・パレ美術館の元館長・古文書学者のルネ・エロン・ド・ヴィルフォスであり、レオナール・フジタが装丁と挿絵を担当。フジタが愛したパリの歴史的建造物や街並み、人物などが詩情豊かに描き出されています。
レオナール・フジタ(藤田嗣治)は、1886年(明治19)に東京都新宿区の陸軍軍医の家に生まれ、父の上司の森鴎外の勧めで東京美術学校西洋画科に入学、1913年、26歳で渡仏。パリのモンパルナスでは、ピカソやモディリアーニらエコール・ド・パリの画家たちと交流し、「乳白色の肌」と絶賛された独特の裸婦像で人気を博しました。1933年以降は活動拠点を日本に移しますが、戦争画の制作をすることになり、戦後に戦争協力者として画壇から批判を浴びたため、再び、渡仏し、1955年にフランス国籍を取得。本作はこの再びパリでの暮らしを始めた最中に制作されたエッチング作品です。
ご来館の際にはあわせて新館・常設展示室もご鑑賞いただければ幸いです。