住吉具慶《源氏物語図屏風(若菜上・下)》根津美術館蔵
『源氏物語 THE TALE OF GENJI』に出品されている作品をご紹介させていただきます。
桃山時代以降になると、より大きな画面に物語の場面を描いた、屏風形式等の大画面の「源氏絵」が次々に生み出されました。
本作は江戸時代前期の絵師である住吉具慶(すみよし ぐけい)による源氏絵の名品のひとつです。
右隻には若菜上(34巻)、左隻には若菜下(35巻)の場面が描かれています。画面右側には、六条院で行われた光源氏の40歳の祝いの場面が描かれています。平安時代では40歳を迎えると長寿とされ、そのお祝いの様子を垣間見ることができます。中央上部の男性が光源氏で、若菜を献上しているのは玉鬘(たまかずら)という光源氏の養女です。画面左側には、四十の賀(しじゅうのが)の夜に行われた演奏会の様子が描かれています。
一方、左隻では光源氏一行が住吉詣(すみよし もうで)をした模様が描かれています。左側では住吉社の社殿で人々が舞を楽しむ様子が描かれています。また、右側には浜辺で主人を待つ従者の表情豊かな姿を見ることができます。
《源氏物語図屏風(若菜上・下)》は、根津美術館からの出品で、展示期間が3月12日から3月24日までになります。
※掲出画像の上部が右隻、下部が左隻となります。