『源氏物語 THE TALE OF GENJI』に出品されている作品をご紹介させていただきます。
国宝・重要文化財を含む約120点の『源氏物語』関連作品・資料が勢ぞろいしている中で、今回は復元された作品をご紹介いたします。
復元装束による「打出(うちいで)の再現展示/二人の女房による打出の様子」(令和3年製作)を、民族衣裳文化普及協会のご協力のもと特別出品となりました。
平安時代の女性は、御簾(みす)の下からこぼれ出る色とりどりの装束によって、自分の存在や感情を表現していました。このしつらいを「打出」といい、その装束の重ねの色目や文様は、季節や場面に合わせて工夫されています。
大切な行事やお祝いの時に、御簾の下から十二単(じゅうにひとえ)の袖を出して、空間に華やかさを添えていました。
展示では、宮廷に仕える女房の正装である 「女房装束」を着用した姫君の姿を再現しています。
女房装束は、白小袖の上に紅の袴をはき、 単(ひとえ)・五衣(いつぎぬ)・打衣(うちぎぬ)・表着(うわぎ)・裳(しょう)・唐衣(からぎぬ)という多くの衣服を重ねて着るもので「十二単」と呼ばれています。
今回の「打出」の展示は、平安時代中期の唐衣裳装束を考証しながら、それらの打出の様子を再現するために復元したものです。復元にあたり装飾の参考とされた《舞楽図》(I-16、毛利博物館蔵)も本展に出品されていますので合わせてご覧ください。平安時代の女性の空間を体感できる貴重な機会です。ぜひ、十二単が織りなす華やかな世界をお楽しみください。