
5月2日に開幕を予定しておりました館蔵品展「Flower × Flower展」は、新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡散防止に伴う臨時休館のため、開幕が延期となりましたが、出品作品をご紹介させていただきます。
ラウル・デュフィ(1877-1953)
《アネモネ》
1942年
水彩・グアッシュ、紙
東京富士美術館
フランスのル・アーヴルで生まれ、同地の美術学校で学びパリに出たデュフィは、20世紀に台頭した、強烈な色彩と荒々しい筆使いによって人間の内的感情を表現するフォーヴィスムに影響を受けた。「脱コルセット」で女性ファッションに革新をもたらしたことで知られるパリのファッションデザイナー、ポール・ポワレと出会い、ドレスやテキスタイルのデザインを手伝うようになり、やや重苦しいフォーヴィスムのスタイルを脱し軽快な明るい作風へと変わっていった。デュフィの父は聖歌隊を指揮しオルガンを弾く大変な音楽好きで、彼もまた音楽を愛し、父の感性を受け継いだ。水彩で自由なタッチで描かれた本作は、まるで花のオーケストラと言えるような躍動感を感じさせる。