
唐時代の純金製の延べ板です。中国史上ただ一人の、女性皇帝である則天武后(在位690~705年)が、新しく作らせた則天文字が刻まれています。
則天文字でよく知られているのは「圀」(くに)の字で、徳川光圀の名前に使用されています。「囗」(くにがまえ)の中に「八方」という字を入れました。女帝の権威を、四方八方に広めたいという、個人的な好みのために策定しました。
ちなみに、13世紀の『立正安国論』では、国の字を、「囗」(くにがまえ)に「民」(たみ)、民衆の民(みん)という字を入れて、国と読ませたことがよく知られています。
則天文字は、則天武后が失脚すると、事実、ほどなく忘れ去られてしまい、誰も使わなくなったといいます。
東京会場(東京富士美術館)のみの出品作品ですので、お見逃しなくご覧下さい。(賢)