
東京富士美術館とイタリア文化財・文化活動省(文化省)は、2012年11月26日、ローマにおいて、両者の長期的な協力協定の締結と、同美術館によるイタリア共和国への《タヴォラ・ドーリア》として知られる16世紀の重要作品の寄贈を明らかにしました。
《タヴォラ・ドーリア》は、ポプラの板(86cm×115cm)に油彩で描かれた作品で、《アンギアーリの戦い》の主要場面の一つである「旗幟の戦い」を描いたものです。《アンギアーリの戦い》は、フィレンツェのヴェッキオ宮殿内の「500人の間」の壁画として描かれるべく16世紀にレオナルド・ダ・ヴィンチに発注された歴史的なテーマでした。
本協力協定により東京富士美術館は、①《タヴォラ・ドーリア》を所定の期間、貸与され、日本ないし海外における展覧会を開催することができます。直近では、2014年6月30日までイタリアで公開した後、日本へ移転し、4年間展示できることになります。②さらに、その他の日本未公開を含むイタリアの重要美術品も貸与され、日本ないし海外における展覧会を開催することができます。③また、イタリア文化省の全面的な協力により、当館所蔵の日本美術作品を、イタリア国内で展示できることになるなど、様々な文化交流の道が拓かれます。
イタリア文化省を代表して、政務次官で建築家でもあるロベルト・チェッキ博士は次の通り述べました。「わが国にとって大変に重要な作品である《タヴォラ・ドーリア》が、イタリアに戻されることは大きな喜びです。東京富士美術館の惜しみない寄贈に対して、非常に感謝するとともに、今後の美術館との協力を楽しみにしております。日本は偉大な文化の国であり、イタリア絵画の名品を同国で展示できること、そして、日本の美術品をイタリアに紹介、展示できることは喜ばしいことです。」
当館館長の五木田聡は次の通り述べました。「イタリアに対して《タヴォラ・ドーリア》を寄贈できたことは私共にとって誇りであり、大きな喜びです。この絵画が今や母国に帰属することになり、研究され、公衆に展示されることは極めて有意義なことです。今後長期間にわたり、貴重なイタリア美術に関する展示が日本で行われ、また、文化省と文化交流できることも大きな楽しみです」
なお、《タヴォラ・ドーリア》が提起している課題に答えるため、国立フィレンツェ修復研究所(Opificio delle Pietre Dure di Firenze)の指導の下、さらなる科学的、学術的な分析が、現在実施されており、同時に、この分野の絵画の主要な専門家による調査も実施されています。