大正14年(1925)/木版多色刷
25.0×37.1cm
SUMMARY作品解説
アメリカ合衆国アリゾナ州北部に位置するグランドキャニオンは、コロラド高原がコロラド川の浸食作用によって生み出された大峡谷で、アメリカで最も有名な観光地のひとつ。大正8年(1919)に国立公園に指定され、昭和54年(1979)にはユネスコの世界遺産に登録されている。 関東大震災の余燼がくすぶる大正12年(1923)、吉田博は妻とともに三度目の欧米訪問に旅立った。ボストンをはじめ、フィラデルフィアやデトロイトで展覧会を開催したほか、初めて西海岸の諸都市や景勝地を巡りながら、数多くの写生を行っている。なかでも大自然が作り出した雄大なグランドキャニオンの景観は、「日本に類のない」風景として、山好きの博の心を掴んだようである。本図では、陽光に照らされた悠久の歴史を刻む地層が、オレンジやピンク、ブルー、グレーなどさまざまな色彩のハーモニーを奏でている。 同14年(1925)に、1年10ヶ月の長期に渡る欧米旅行から帰国後、博はすぐに独自監修による木版画の制作に着手し、「米国シリーズ」「欧州シリーズ」として旅の感動を描き残したのである。
ARTIST作家解説
吉田博
Yoshida Hiroshi1876-1950
福岡に生まれる。初め京都の田村宗立に師事、後に上京し小山正太郎の不同舎に入門。明治美術会員となる。明治35年(1902)、太平洋画会を設立。第1回文展で3等賞を受賞。文部省買上げとなる。以後、官展に出品を重ね、審査員も務める。大正9年(1920)、最初の木版画を出版。国内、欧米、アジア各国へ写生旅行に出かけ、版画作品に残す。晩年、日本山岳画協会を結成。国内外の山岳風景を多く描いた。
同じ作家の作品一覧
INFORMATION作品情報

EXPLORE作品をもっと楽しむ

全国の美術館・博物館・アーカイブ機関を横断したプラットフォームでコンテンツを検索・閲覧でき、マイギャラリー(オンライン展覧会)の作成などができます。