SUMMARY作品解説
籠の中のカナリアを覗く淑やかな女性。モデルは名作《朝涼》(鎌倉市鏑木清方記念美術館蔵)にも登場した画家の長女清子と見られる。耳を出した現代風な髪型に大柄の麻の葉文様をあしらった着物、胸高で締めた帯の着こなしは当時の流行を反映しており、加えてブレスレットや指輪、スリッパ、花瓶敷き、カーペットなどにも現代的な要素が取り込まれ、こうした一つ一つが清方の関心事であったことが知れる。また籠の下に吊り下がった小さな子猫の飾りにも、彼の遊び心が隠されている。画題でもある「ローラーカナリア」は鳴き声を楽しむため改良された品種で、当時真新しいペットとして持てはやされていたのであろう。左上から右下に視線を送らせる構図も観る者に安心感を与える。
ARTIST作家解説
鏑木清方
Kaburaki Kiyokata1878-1972
東京に生まれる。明治24年(1891)、浮世絵系の水野年方の入門。同27年(1894)頃から新聞挿絵を手がける。後、紫紅会改め烏合会を結成し、《一葉女史の墓》(鎌倉市鏑木清方記念美術館蔵)など力作を発表。第9回文展で2等賞首席を受賞。大正6年(1917)に松岡映丘らと金鈴社を結成。昭和2年(1927)の帝展に代表作《築地明石町》(東京国立近代美術館蔵)を出品。帝国美術院賞を受賞。同29年(1954)、文化勲章を受章した。
同じ作家の作品一覧
INFORMATION作品情報

2020年6月1日 (月)~7月5日 (日)
日本美術の巨匠たち 島根県立美術館(島根、松江市)
2017年9月9日 (土)~10月15日 (日)
没後45年 鏑木清方展 高松市美術館(香川、高松市)
2014年11月15日 (土)~1月18日 (日)
日本絵画の精華 高崎市タワー美術館(群馬、高崎市)
2014年4月18日 (金)~5月21日 (水)
鎌倉 鏑木清方の終の棲家 鎌倉市鏑木清方記念美術館(神奈川、鎌倉市)
2013年3月16日 (土)~5月8日 (水)
近代日本画の精華 新潟県立近代美術館(新潟、長岡市)
2012年7月21日 (土)~9月2日 (日)
上村松園と鏑木清方 平塚市美術館(神奈川、平塚市)
2010年10月16日 (土)~11月28日 (日)
日本画に見る四季の美展 大観から玉堂、清方、松園まで ニューオータニ美術館(東京、千代田区)
EXPLORE作品をもっと楽しむ

全国の美術館・博物館・アーカイブ機関を横断したプラットフォームでコンテンツを検索・閲覧でき、マイギャラリー(オンライン展覧会)の作成などができます。