SUMMARY作品解説
印象は昭和27年(1952)5月からの半年間、欧州各地を遊歴した。本作はその際、彼がパリを写生したスケッチを基に描かれたと考えられる。奥にのびた細い路地に街灯と街路樹のマロニエが静かに立ち、空の薄い光を浴びている。画面手前のやや幾何学的に処理された建物が横のラインを意識させると共に、街灯の柱、街路樹の幹、街路先に立つ女性が整然と並び、縦のリズムを形成している。こうした秩序だった画面構成は、この先展開される彼の抽象的画法を暗示させるかのようである。画面全体を支配する青や緑の寒色系を基調とした配色は、印象が戦後に入って描き始めた社会風俗的な絵画の一つの特徴といえ、当時の風潮を反映するかのような一種の寂寥感を漂わせている。
ARTIST作家解説
堂本印象
Domoto Insho1891-1975
京都に生まれる。19歳で京都市立美術工芸学校を卒業。一時、三越の図案科で働く。27歳で京都市立絵画専門学校に入学。大正8年(1919)、第1回帝展で《深草》(京都府立堂本印象美術館)が初入選。翌年、西山翠嶂の青甲社に入塾する。第6回展で《華厳》(同上)が帝国美術院賞を受賞。活動前期は仏画が主で、社寺の襖絵などの注文も多く、生涯で600点余を描く。昭和9年(1934)、画塾東丘社を創設。戦後、第3回日展に《婦女》(同上)を出品。社会風俗的な絵画へ画風を転じた。同27年(1952)に渡欧。帰国後はキリスト教を主題とした作品を制作。第11回日展から抽象画作品を発表し、さらなる画風展開をみせた。同36(1961)年、文化勲章を受章。
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INFORMATION作品情報

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