昭和27年(1952)/絹本着色 軸装(三幅対の内)
53.5×72.0cm
SUMMARY作品解説
横山大観、川合玉堂、龍子の3巨匠が「雪月花」をテーマに競作した「第1回雪月花展」で、月を任された龍子が出品した2点のうちの一つ。龍子は本作の他に縦の構図で松と月を描いた《天心》(所蔵先不明)を出品している。本作では、澄んだ池の中をゆったりと泳ぐ一尾の真鯉とその水面にぽっかりと映った満月を描き、奇抜に画面を構成している。正確に描写された鯉と月を浮かべて揺らぐ池の水紋の曲線が小気味よく配置されて、洒脱な雰囲気を醸し出している。龍子にとって鯉は特に親しみある画題で、本作以外に《五鯉図》(山種美術館蔵)をはじめ夥しい数の鯉を描き残している。本作は透徹した在野精神と大胆な画想で独自の画境を開いてきた龍子の悠然たる境地を示す快作といえよう。
ARTIST作家解説
川端龍子
Kawabata Ryushi1885-1966
和歌山に生まれる。10歳の頃、家族と共に上京。洋画に学びつつ、雑誌の挿絵を手がける。第1回および第2回文展に油彩画作品を出品し、連続して入選。大正2年(1913)、周囲の反対を推して単身渡米し、帰国後、日本画に転向する。同4年(1915)、第2回再興院展で初入選を果たし、第3回展で《霊泉由来》(永青文庫蔵)が樗牛賞を受賞。以後、院展に出品を重ねるが第15回展をもって脱退。翌昭和4年(1929)、「健剛なる芸術」「会場芸術」を標榜し青龍社を発足。第1回青龍展を開催し、逝去前年の第37回展まで《鳴門》(山種美術館蔵)をはじめ《草炎》(東京国立近代美術館蔵)、《新樹の曲》(大田区立龍子記念館蔵)など出品を続けた。同34年(1959)、文化勲章を受章。
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