昭和14年(1939)/絹本着色 軸装
66.0×72.0cm
SUMMARY作品解説
「菊寿」とは、9月9日に行う重陽の節句。節句の折りには、菊花酒を飲みかわすなどして長寿を願ったとされる。また菊は長寿を寓意し、画題としても良く用いられる。本作はこの菊の宴を終えた後であろうか、菊を愛でながらくつろぐ婦人の姿が描かれる。鮮やかな黄赤色を基調とした鹿の子柄の入った着物にやや黄味がかった水色の色打掛という取り合わせが鮮やかで、白い女性の肌と菊の花を際立たせている。特に打掛の裏地に薄い黄赤色を使い、青系統とオレンジ系統という補色の色同士を組み合わせており、松園の色彩への細やかな意識を窺わせる。女性は江戸の元禄時代以降に流行ったとされる投島田を結い、鼈甲製の櫛、笄、簪で髪を飾っている。
ARTIST作家解説
上村松園
Uemura Shoen1875-1949
京都に生まれる。母仲子の手一つで育てられる。12歳で京都府画学校に入学し、鈴木松年に師事。明治23年(1890)、第3回内国勧業博覧会に《四季美人図》(大松美術館蔵)を出品し一等褒状を受ける。同26年(1893)、幸野楳嶺門へ移り、楳嶺逝去後は竹内栖鳳に師事。活動の前期では日常の暮らしと江戸時代の風俗を重ね合わせた風俗画的な作品や謡曲など古典芸能を題材とした作品を手がけ、独自の美人画を確立した。昭和9年(1934)、母を亡くした後は《母子》(東京国立近代美術館蔵)をはじめ母娘を主題にした作品で新たな画境を開いた。主に文展、帝展で活躍。近代を代表する閨秀画家として名を馳せた。昭和23年(1948)には女性初の文化勲章を受章した。
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INFORMATION作品情報
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