SUMMARY作品解説
海の向こうに昇りゆく朝日とそれを見守るかのように海辺に寄り立つ3本の松、そしてその合間を埋めるかのようにリズミカルな動きを見せる波。シンプルな画面構成だが、こうした静と動の心地よい調和が画面に適度な緊張感をもたらし、観る者の心を穏やかにさせる。また旭日と霞んだ雲に金泥を施し、主要な部分を墨色で仕上げた簡素な色調が、画面を質実で格調高いものとしている。大正末から昭和の初めにかけては、大観が《生々流転》(東京国立近代美術館蔵)や《瀟湘八景》(大倉集古館蔵)など墨画の傑作を次々と世に送り出した時期。松の精細な表現や、墨の濃淡と筆の擦れの特質を生かして、勢いよく描かれた緩やかな砂丘の描写など、当時の大観の卓越した墨技を窺える佳品である。
ARTIST作家解説
横山大観
Yokoyama Taikan1868-1958
茨城に生まれる。東京美術学校1期生として入学。明治31年(1898)、師・岡倉天心に従い日本美術院創設に参加し、西洋画の技法に示唆を得た没線描法による作品を発表。後、院の移転に伴い、茨城県五浦に移住。大正3年(1914)には天心の遺志を継ぎ、院を再興。生涯師の理想実現のため創意模索し、独自の気宇広大な世界を確立した。昭和12年(1937)に第1回の文化勲章を受章。
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