天保1−天保3年(1830-32)頃/木版多色刷 横大判錦絵
24.5×37.3cm
SUMMARY作品解説
犬目峠は現在の山梨県上野原市に位置する。ここの峠は富士の眺めが良いことで知られていた。本図で北斎は、高さによって見え方が変わっていく富士山の表情を白、藍色、茶色の三色で摺り分けることによって巧みに描き出している。一面緑に覆われた坂道を2組の旅人が歩みを運んでおり、峠の高みから見る富士の景色に思わず目を止めている。小さく描かれた人物が、この眺望の雄大な景色と緩やかな時間の流れを強調している。
ARTIST作家解説
葛飾北斎
Katsushika Hokusai1760-1849
19歳の時に勝川春章に入門し、春朗と名乗る。師春章没後、勝川派を離れ、俵屋宗理を襲名。以後、戴斗、北斎、画狂人、為一、卍老人など30余り画号を使った。40歳半ばから曲亭馬琴著の『椿説弓張月』など、当時流行した読本挿絵を多く手がける。文化11年(1814)、絵手本をまとめた《北斎漫画》を発表。70歳代に入り、代表作《冨嶽三十六景》をはじめ錦絵の揃物を次々と版行。最晩年は肉筆画にも筆を揮った。
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