1880年頃/油彩、カンヴァス
24.0×16.8cm
SUMMARY作品解説
クリムトが18歳の頃の作品。この頃のクリムトは、弟のエルンスト・クリムト、画家のフランツ・マッチュと共同で「芸術家商会」を営み、ウィーンのブルク劇場やヘルメスヴィラ、美術史美術館などの壁面や天井の絵画装飾を手がけていた。 グリーン系の落ち着いた色調でまとめられた画面の中で、ひときわ目を引く少女の瞳の青と唇の赤、そして胸元を飾るネックレスの輝く白が印象に残る。 若き日の小品ではあるが、後のクリムトの絵画を特色づける装飾性の萌芽を感じることができる貴重な作品。
ARTIST作家解説
グスタフ・クリムト
Gustav Klimt1862-1918
金工師エルンストの息子としてウィーン近郊のバウムガルテンに生まれる。1876年からウィーンの工芸美術学校で絵を学ぶ。当初は古典主義に根ざした作品を描いていたが、近代主義的なユーゲントシュティールに関心が移り、1897年にはウィーン造型芸術家協会(キュンストラーハウス)を脱退し、ウィーン分離派を設立した。1901年からの約10年間は「黄金様式」と呼ばれ、金を用いたきらびやかで装飾的な絵画表現を用いて制作した。とくに1903年の旅行中にラヴェンナで見たビザンティン時代の金のモザイク画が「黄金様式」の確立に大きな影響を与えた。分離派内の対立により1905年に友人たちのグループと分離派を脱退し、1908年にクンストシャウ(美術展)を組織。ここでエゴン・シーレやオスカー・ココシュカといった初期表現主義の寵児たちを見いだした。1910年以降主な国際芸術展で入賞し国際的な名声を得た。日本美術や中国美術などを収集・研究していたことでも知られ、それらの影響は彼の作品の空間的表現、視覚的効果、東洋的モティーフに見ることができる。
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INFORMATION作品情報
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来歴: ツィンペル家(ウイーン) Mr. and Mrs. Zimpel, Vienna 2001年、東京富士美術館購入