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COLLECTION DETAILS収蔵品詳細

金剛山三仙巌(「朝鮮八景」より) Samburam Rock, Kumgang Mountain, from the Series "Eight Views of Korea"

昭和14年(1939)8月/木版多色刷

39.4×27.1cm

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教育 非商用 商用

SUMMARY作品解説

昭和11年(1936)から同14年(1939)頃にかけて、戦争前夜の不穏な空気が世間を覆うなか、巴水は気が落ちつかず、写生にも行き詰って変り映えのしない作品が多くなり、いわゆるスランプに陥っていた。そのような時期に、画家仲間から朝鮮旅行に誘われ、同14年(1939)6月1日から7月4日まで、朝鮮各地を旅行した。その旅行でのスケッチをもとに、制作されたのが『朝鮮八景』『続朝鮮風景』のシリーズである。 この朝鮮旅行で目にした荒々しい自然の造形美、伝統的な建築物や現地の人々の生活や風俗などは、巴水の創作意欲を大いにかき立てたようである。この朝鮮旅行を転機として、巴水の作品は、それまでの緻密な描写に加えて、大胆で雄大な構図と爽やかな色彩へと変化し、魅力あふれるものとなっていく。 本作のタイトルにある金剛山(クムガンサン)は、朝鮮半島東部を縦断する太白(テベク)山脈の名峰で、一万二千峰とも言われる奇岩・奇峰が連なっていることで知られる。 ここには、その中でも奇岩の景勝に富む万物相(マンムルサン)地区にある三仙巌(サムソナム)の威容が描かれている。陽光を浴びる急峻な岩山が画面の半分を埋め尽くし、圧倒的な存在感を放っている。

ARTIST作家解説

川瀬巴水

Kawase Hasui1883-1957

東京に生まれ、同地で没する。本名は文治郎。白馬会洋画研究所で洋画を学び、岡田三郎助に指導を受ける。明治43年(1910)鏑木清方に入門。同門の伊東深水『近江八景』に触発され、大正3年(1914)から新版画の制作に手をそめる。同年渡邊版画店から「塩原おかね路」など版画3点を出版。同9年(1920)の『旅みやげ第1集』で版画家としての地位を確立する。「東京十二題」(大正8年)、「日本風景選集」(昭和元年)など、一貫して風景版画に取り組み続け、旅情・叙情溢れる新境地を開拓した。昭和28年(1953)には文化財保護委員会により、「増上寺の雪」の制作過程が記録された。

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