1782年/油彩、カンヴァス
76.5×61.0cm
SUMMARY作品解説
エリザベート王女(1764-1794)は、ルイ15世の息子である王太子ルイ・フェルディナンドとマリー=ジョゼフ・ド・サックスとの間に8人兄弟の末娘として生まれた。ルイ16世は10歳年上の兄にあたる。謙虚で信仰心が篤く、聖女と呼ばれた彼女は、1789年に勃発したフランス革命の最中にも、兄の国王ルイ16世を慕い、その運命を共にした。革命の運命の嵐に巻き込まれた彼女は、国王一家とともに幽閉された後、1794年5月9日に死の宣告を受け、翌日30歳でその生涯を閉じた。 1782年、エリザベートは画家ヴィジェ=ルブランのためにポーズを取った。その際に描かれた最初の肖像画は現在所在不明であるが、その絵をもとにした幾つかのヴァージョンが知られており、本作もその1枚である。 本作で王女は、モスリンのキャミソールにすみれ色の絹のドレスを着て、ライトブルーの絹の大きなリボンと縞模様のベルトをつけて描かれている。彼女が被っている色とりどりの花をあしらった大きな麦わら帽子は、当時の貴族たちに流行した田園趣味を象徴している。ヴィジェ=ルブランはエリザベートについて、「昔の牧人劇に登場するかわいい恋人役のような魅力ある人だった」と評しているが、本作にもそのような王女の魅力が十分に表現されていよう。
ARTIST作家解説
エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン
Elisabeth-Louise Vigée-Le Brun1755-1842
18世紀最も名をなした女流画家。フランス王妃マリー=アントワネットに気に入られ、王妃付きの画家としてヴェルサイユ宮殿に迎えられた。フランス革命が起こると余波を逃れ、ポーランドやロシアなど、ヨーロッパ各国を遍歴し各地の宮廷で歓迎され、肖像画制作を行った。師ジャン=バティスト・グルーズの描く感傷的な女性像から大きな影響を受け、美しさと愛らしさに満ちた肖像画を数多く描いた。フランスのロココ趣味がヨーロッパ各国に広まったのは、彼女の絵によるところが大きい。
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