SUMMARY作品解説
ミレーの版画が絵画に先行している代表的な例である。ルーヴル美術館の油絵は1857年のサロンに出品されており、ほぼ1年前にはその完璧な構図がここに仕上がっていた。背景の細部は油絵とは若干異なり、エッチングの方が地平線の手前寄りに収穫風景を配置しているので、手前の3人との関係は比較的緊密であり、油絵が持つ3人の疎外感は弱められている。また中央の女はエッチングでは腕抜きをまだはめておらず、構図上のアクセントが一つ欠けたようで物足りなさを感じさせ、興味深い点である。
ARTIST作家解説
ジャン=フランソワ・ミレー
Jean-François Millet1814-1875
ノルマンディに生まれる。1837年パリに出てポール・ドラローシュに師事。1844年からサロンに農民画を出品。1849年バルビゾンに移住し、農民の生活に抒情的な理想を託した作品を描いた。代表作には《種をまく人》(ボストン美術館蔵)や《晩鐘》(オルセー美術館蔵)がある。温和な構図と画風はジャン=シメオン・シャルダンなどフランス写実絵画の伝統に連なり、下層民衆に尊厳さを見い出して描く精神性はクールベなど同時代の写実主義の特徴でもある。銅版画、素描、パステルの各分野にも優れた才能を発揮した。
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INFORMATION作品情報
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