江戸時代後期(19世紀)/絹本着色 襖(八面)
168.0×115.5cm(各)
2025年03月30日 (SUN)~2025年06月15日 (SUN)
ART OF THE REAL アート・オブ・ザ・リアル 時代を超える美術-若冲からウォーホル、リヒターへ-
鳥取県立美術館(鳥取、倉吉市)
SUMMARY作品解説
俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一という琳派の巨匠たちによって手がけられてきた重要画題である「風神雷神図」を抱一の高弟其一が再構成した作品。3人の巨匠が二曲の金地屏風に二神を収めたのに対し、其一は絹本の襖四面に各々を描いた。この襖絵は元々4面が表裏にくるよう仕立てられていたという。白と緑の軽やかな色彩を得た風神・雷神は、墨の滲みを使った柔らかな雲を従えて、与えられた広々とした空間を我が物顔で支配している。其一は、師である酒井抱一とともに、大らかで典雅な気風の京琳派に対して、瀟洒で機知的な近代性を併せもった「江戸琳派」を確立させた。本作では風神・雷神の二神の胴体・腕・足の凹凸を表す描線や目玉の周囲にわずかな陰影を施し、立体性をより強調しているのが見て取れ、他の3巨匠にはないリアリティへの追求が窺える。落款には「為三堂」「噲々」の印、「祝琳斎其一」の署名がなされており、抱一の死後、其一独自の作風を確立しゆく30代半ばから40代後半の充溢した時代の作と考えられる。
ARTIST作家解説
鈴木其一
Suzuki Kiitsu1796-1858
江戸に生まれる。名は元長、字は子淵。18歳の頃、酒井抱一の内弟子となり、抱一の付き人鈴木蠣譚の没後、蠣潭の姉りよと結婚。酒井家家臣となる。抱一からの信任も厚く代作を任されることもしばしばあった。師の画風を忠実に継承しつつも、師没後は己の画風を追求。花鳥画を得意とし、自然観察に裏打ちされた鋭い写生感覚で新たな琳派表現を確立した。絵表装(表装部も絵で描かれた一種のだまし絵)などの作品も残す。63歳で没。
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INFORMATION作品情報

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