SUMMARY作品解説
「紀元二千六百筆」との年記があることから昭和15年(1940)の作であることが分かる。同年は神武天皇の即位から2600年を当たる節目の年であることから各地で記念の奉祝展が多く開催された。大観は同年の4月、日本橋の高島屋と三越の2会場でそれぞれ「横山大観紀元二千六百年奉祝記念展」を開催し、そこに《海に因む十題》《山に因む十題》として各々10点ずつを出品し、売上金の50万円を全て陸海軍に献納したことは有名である。本作もこうした奉祝ムードの中で、同様の展覧会もしくは個人の依頼によって描かれたものと思われる。大型の画面に淡墨と胡粉を使い、靄の中からセピア調に浮かび上がらせた富士の姿は壮麗で神々しさすらおぼえる。富士の山頂の形状からすると、南西側の静岡方面から見た富士と思われる。
ARTIST作家解説
横山大観
Yokoyama Taikan1868-1958
茨城に生まれる。東京美術学校1期生として入学。明治31年(1898)、師・岡倉天心に従い日本美術院創設に参加し、西洋画の技法に示唆を得た没線描法による作品を発表。後、院の移転に伴い、茨城県五浦に移住。大正3年(1914)には天心の遺志を継ぎ、院を再興。生涯師の理想実現のため創意模索し、独自の気宇広大な世界を確立した。昭和12年(1937)に第1回の文化勲章を受章。
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INFORMATION作品情報

2024年4月26日 (金)~6月2日 (日)
横山大観展 福井県立美術館(福井、福井市)
2017年4月29日 (土)~6月25日 (日)
東京富士美術館コレクション −美の東西− 新居浜市美術館(愛媛、新居浜市)
2014年11月15日 (土)~1月18日 (日)
日本絵画の精華 高崎市タワー美術館(群馬、高崎市)
2013年3月16日 (土)~5月8日 (水)
近代日本画の精華 新潟県立近代美術館(新潟、長岡市)
2009年10月10日 (土)~11月29日 (日)
近代日本美術の精華 東京富士美術館所蔵 大観から清方、松園、玉堂まで 高梁市成羽美術館(岡山、高梁市)
1994年6月29日 (水)~8月7日 (日)
「日本の美と心」展 コロンビア国立博物館(コロンビア、サンタフェ・デ・ボゴタ)
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