金(12-13世紀)/
高27.5cm、口径7.2cm、胴径15.7cm、底径7.0cm
SUMMARY作品解説
小さい高台の付いた下膨れの胴に、細い頸が付き、口が広がる。この作品も黒釉の上に、素早い筆致で、鳥もしくは、花ともみられる文様が鉄絵で描かれ、胴部を巡る。口部から高台にかけて、なだらかな曲線をえがくこの形は、中国では、「玉壺春瓶」(ぎょっこしゅんへい)などと呼ばれている。宋時代に大いに流行し、定窯、耀州窯、磁州窯など各地の窯で生産され、元時代にも、龍泉窯や景徳鎮窯などで生産された。
ARTIST作家解説
磁州窯系
A Type of Ci-zhou Ware
五代時代末期から近代の窯。窯跡は、河北省邯鄲市に分布。灰色の胎土に白化粧を施し、透明釉をかけて焼成するのが基本的な技法。文様装飾は白無地、白地掻落、白地黒掻落、白地鉄絵、白地紅緑彩、黒釉、翡翠釉など多彩で、器種も豊富。同種の製品を焼造する窯跡は、河北省、北京市、河南省、安徽省、山西省、山東省、陝西省に広く分布し、磁州窯系と総称。北宋時代には白地掻落が出現し、北宋時代末期には白地黒掻落が盛行。金時代以降は、筆彩で文様を表す白地鉄絵などが主流となる。また、同じ頃に作られた、わが国で「宋赤絵」と呼ばれる白地紅緑彩は、複数色の上絵付による文様表現の嚆矢。