北宋-金(11-12世紀)/
高5.4cm、口径18.3cm、底径4.4cm
SUMMARY作品解説
定窯は、宋時代随一の白磁の名窯として知られている。この作品は小さい高台をもち、薄く仕上げられた内面に、片切り彫りの牡丹文を配した典型的な定窯の白磁碗である。花弁や葉は細かい櫛描きで表現されており、優美な仕上がりとなっている。牡丹文は、色とりどりの花を豊かに咲かせることから富貴の象徴として、宋時代以降、文様として盛んに描かれるようになった。外面には、涙痕(るいこん)と呼ばれる釉溜まりがあり、これも定窯の見所の一つとなっている。
ARTIST作家解説
定窯
Ding Ware
唐時代後期から元時代の窯。窯跡は、河北省保定市曲陽県一帯に分布。唐時代後期には、実用器としての碗などの白磁が作られた。北宋時代には、白磁を中心に黒釉・柿釉の製品も作られたが、壺・瓶は少なく碗・皿・鉢が中心。白磁は、わずかに黄みを帯びた温かみのある白色を呈し、碗・皿・鉢などの多くは伏せ焼きにより焼成。北宋時代前期には細い線彫りによる文様が主流を占めるが、後期には浅い箆彫りによる刻花文が出現し、金時代以降は型を用いた印花文が主体となる。