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COLLECTION DETAILS収蔵品詳細

モンマルトル、ノルヴァン通り Norvins Street, Montmartre

1916年頃/油彩、カンヴァス

55.5×46.0cm

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教育 非商用 商用

SUMMARY作品解説

ユトリロはエコール・ド・パリの画家たちの中にあって、マリー・ローランサンとともに、ほとんど唯一の純粋なフランス人であった。他のエコール・ド・パリの画家はモンパルナスのカフェを中心に活動したが、ユトリロの活動拠点はモンマルトルの丘であった。 彼は精神病院を転々とする重症のアルコール中毒患者で、1917年に母の画家シュザンヌ・ヴァラドンに「あなたの席はルーヴルにありますが、僕の席は病院にあります。僕は16歳のとき人生を投げ出したので、今となっては社会に馴染むには遅すぎます」と苦しい胸のうちを告白している。もっとも入院先の病院の医師の勧めで絵筆をとったのが、画家ユトリロの誕生であった。 彼の作風は一般的に以下の4つの時期に分類されている。1903—06年の初期の時代、1906—07年の印象派時代、1907—13年の「白の時代」、1913年以降の「色彩の時代」がそれである。特に本作が描かれた1910年代後半は、それまでの白を中心としたパレットがさまざまな色彩の広がりを見せていくが、白はまだ主要な色として用いられている。 ノルヴァン通りは、モンマルトルの丘の上に立つサクレ=クール寺院へと続く小路で、ユトリロはしばしばこの付近を描いた。人影もまばらな狭い道の両側には白い壁が続き、その先にはサクレ=クール寺院の白亜の円蓋がそびえている。哀愁を帯びた裏通りの淡い詩情をたたえた空間が印象的な本作は、ユトリロが傑作を最も多く生み出した1910年代の典型的な佳品のひとつといえるであろう。

ARTIST作家解説

モーリス・ユトリロ

Maurice Utrillo1883-1955

フランス・パリ出身。早くから示していた異常な飲酒癖のため、10代後半にはアルコール中毒で入院。医者の勧めで母親は彼に絵をかかせるが、効果は上がらず入退院を繰り返した。独学で制作を行い、画壇からも孤立していた彼が数多く描いたのはパリの街角など、哀愁にみちた風景だった。1909-12年頃の彼が用いた基調色から名を得た《白の時代》の作品には秀作が多く残されている。

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INFORMATION作品情報

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来歴

Provenance: R. Mesnil, Paris Galerie Daniel Malingue, Paris Acquired by the present owner from the above in 1982 Exhibited: Paris, galerie Daniel Malingue, 1982, illustrated in the catalogue

参考文献

Literature: Paul Petrides, L’Œuvre Complet de Maurice Utrillo, Paris, 1962, vol.2, pp.120-121, no.570, illustrated

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