SUMMARY作品解説
パテルは同郷のジャン=アントワーヌ・ヴァトーの弟子で、その様式の模倣者であった。師ヴァトーは、雅宴画の分野で名を馳せた。ここでは森を拓いた庭の一角で柱の前に集い、恋の語らいに興じる男女が描かれている。中央の女性が着ているのは18世紀前半に流行した「ローブ・ヴォラント」と呼ばれるドレスで、背中のひだが特徴的なこのドレスはヴァトーが多く作品に描いたことから「ヴァトー・プリーツ」とも称される。右手遠景には一群の男女が憩い、塔のある家も見える。この構図はヴァトーの《合奏》(シャルロッテンブルク宮殿蔵)や《生の魅惑》(ウォレス・コレクション蔵)を想起させるが、人物の配置や背景の描写には舞台とその書き割りのような平板な印象も否めない。
ARTIST作家解説
ジャン=バティスト・パテル
Jean-Baptiste Pater1695-1736
ヴァランシェンヌ出身の画家パテルは同郷の先輩ジャン=アントワーヌ・ヴァトーの弟子で、その様式の模倣者であった。師の画法を、ある意味で商業ベースに乗せ、パリで一応の成功を収めた。師ヴァトーは、18世紀初頭にフランス絵画において大流行した雅宴画(フェート・ギャラント、フェート・シャンペートル:田園の宴ともいう)の分野の最も著名な画家であった。パテルの絵画は、こうしたヴァトーの様式を模倣したものであったが、残念ながら師の作品にみる神秘的で魅惑的な輝きには乏しく、新鮮味に欠けた画風に留まっている。
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INFORMATION作品情報
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