1740年代/パステル、カンヴァスで裏打ちされた紙
42.5×34.2cm
SUMMARY作品解説
本作でナティエはパステルという画材の特色を最大に生かして描いている。 ナティエが得意とした優美に仕上げられたモデルの表情と、肌の微妙な色調の取り扱いは、パステルという画材によってますます繊細なタッチ、ニュアンスのわずかな違いをも感じさせる仕上がりとなって完成された域に到達している。 貴婦人を描く肖像画家として並ぶもののない代表画家であったナティエは、本作においては、女性の肌がその肌理の美しさを保ちつつも複雑な色調の変化を見せる様子を表現することに成功している。小品ながらその繊細な美しさが際立つ優品。
ARTIST作家解説
ジャン=マルク・ナティエ
Jean-Marc Nattier1685-1766
ナティエは上流社会の貴婦人たちの庇護を背景に、彼女らを神話や寓意上の女神になぞらえて描き、いわゆる扮装肖像画の形式を流行させた。フランス王室にも迎えられ、ルイ15世の息女たちの御用画家としても活躍したが、後年になって厳正な審美眼に立つ批評家ドゥニ・ディドロから攻撃を受け、「紅白粉で絵を描いた」と非難された。しかし、彼がこの年代に描いた力作には、充実した様式美と繊細な感受性が溢れており、典雅なロココ趣味で女性を描く肖像画家として開花したナティエの才能を認めることができよう。
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