スフィンクス橋の眺め | ユベール・ロベール | 作品詳細
スフィンクス橋の眺め
View of Bridge of Sphinx
- 1767年
- 油彩、カンヴァス
- 96.0×163.0cm
当館HPに掲載の収蔵品画像はご自由にご利用いただけます。
高画質画像については収蔵品画像貸出サービスをご利用ください。
古代風の建物や廃墟を主題に描いたロマン主義風景画や、18世紀後半のパリの生活や出来事を描きとめた記録画を得意としたユベール・ロベールは、1754年から65年までローマに滞在した。この期間に、「廃墟の画家」として知られるピラネージやパニーニと知り合っている。ロベールが古代の建築やモニュメントを同時代のモチーフと組み合わせて描くスタイルはこのローマ滞在に影響を受けている。
本作の画面の前景では、川にかかる石橋のアーチの下で、女たちが洗濯や炊事に余念がない。スフィンクス型の2対のライオン像が置かれた石の階段を上り降りする人々、母親の傍で戯れる子どもたち、両岸に渡された板の上を歩く犬など、日常のありふれた生活のひとコマが描き出されている。一方、対岸の左下方は反対に暗くなっていて、薪を焚く炎の黄色い明るさが周囲の暗さを強調する格好になっている。川面に沿って上流の方向に眼を向けると、遠景には二つのアーチをもつ石橋の下に滝のような急流があり、ごつごつとした大きな岩の間をぬって下り落ちているのが見える。繁みのある岩場の上には古城がそびえ立っている。近景の現実的な生活空間とは対照的なロマン主義風の非現実な空間ともいえる光景で、明るい幻を見ているような印象を受ける。
すなわちこの作品は、近景では当時の庶民の生活風景を、遠景では橋と城のあるロマン主義的な風景を表わしており、その両者を一つの画面に組み合わせて描いた彼の得意のスタイルといえるだろう。ロベールはローマから戻った後、本作が描かれた1767年には王立絵画彫刻アカデミーに入会し、その後も宮殿の装飾などを手がけて活躍した。
当館HPに掲載の収蔵品画像はご自由にご利用いただけます。
高画質画像については収蔵品画像貸出サービスをご利用ください。
ARTIST
ユベール・ロベール
Hubert Robert(1733-1808)
ロココ時代、人工的で理想的な風景画を描いて人気を得た。彫刻家スロッズに学んだ後、イタリアに渡る。ピラネージ、パニーニと交友し、ロマン主義的な画風の古代の廃墟を描いた。パリに戻った彼は、幾つかの建築物のための装飾図案を描くほか、パリの風景や情景を描き、ロマン主義的風景画の先駆者の一人となった。その後、国有美術品の監督官となり、ついでルーヴル美術館の初代館長となった。
展示期間:
2022年6月11日 (土)
~8月28日 (日)
展覧会名:
西洋絵画 ルネサンスから20世紀まで
展示室:
常設展示室2
出品歴
- 2020年5月26日 (火)~8月16日 (日)
フランス絵画の精華 ー大様式の形成と変容 大阪市立美術館(大阪、大阪市) - 2020年2月4日 (火)~3月29日 (日)
フランス絵画の精華 ー大様式の形成と変容 九州国立博物館(福岡、太宰府市) - 2016年7月9日 (土)~8月28日 (日)
巨匠たちの競演 西洋絵画の300年〜ヴァン・ダイク、ドラクロワ、モネ、シャガール 長野県信濃美術館(長野、長野市) - 2015年6月27日 (土)~8月30日 (日)
美の饗宴 西洋絵画の300年―バロック、ロココからエコール・ド・パリまで 八幡浜市民ギャラリー(愛媛、八幡浜市) - 2015年4月29日 (水)~6月21日 (日)
美の饗宴 西洋絵画の300年―バロック、ロココからエコール・ド・パリまで 徳島県立近代美術館(徳島、徳島市) - 2012年8月9日 (木)~9月30日 (日)
ユベール・ロベール 18世紀フランス画家が描いた自然と人工、現実と空想、過去と未来 静岡県立美術館(静岡、静岡市) - 2012年6月19日 (火)~7月29日 (日)
ユベール・ロベール 悠久の古代を憧憬した、フランス18世紀の画家 福岡市美術館(福岡、福岡市) - 2012年3月6日 (火)~5月20日 (日)
ユベール・ロベール─時間の庭 国立西洋美術館(東京、台東区) - 2009年10月24日 (土)~12月20日 (日)
絵画と写真の交差 印象派誕生の軌跡 名古屋市美術館(愛知、名古屋市) - 2009年8月1日 (土)~9月27日 (日)
絵画と写真の交差 印象派誕生の軌跡 松本市美術館(長野、松本市) - 2009年6月6日 (土)~7月20日 (月)
絵画と写真の交差 印象派誕生の軌跡 ひろしま美術館(広島、広島市) - 2009年4月4日 (土)~5月24日 (日)
絵画と写真の交差 印象派誕生の軌跡 札幌芸術の森美術館(北海道、札幌市) - 2009年1月30日 (金)~3月25日 (水)
絵画と写真の交差 印象派誕生の軌跡 北海道立帯広美術館(北海道、帯広市) - 2003年4月18日 (金)~5月25日 (日)
美の巨匠たち 西洋絵画〜400年〜 福岡市美術館(福岡、福岡市) - 2002年10月12日 (土)~11月17日 (日)
近世フランスの絵画と版画 田川市美術館(福岡、田川市) - 2002年8月10日 (土)~10月6日 (日)
近世フランスの絵画と版画 氷上町立植野記念美術館(兵庫、氷上郡氷上町) - 2002年6月8日 (土)~7月7日 (日)
近世フランスの絵画と版画 たけはら美術館(広島、竹原市) - 2002年4月27日 (土)~6月2日 (日)
近世フランスの絵画と版画 徳島県立近代美術館(徳島、徳島市) - 2000年10月1日 (日)~12月3日 (日)
西洋名画展—ルネサンスから20世紀 国父記念館(台湾、台北) - 1997年10月14日 (火)~11月30日 (日)
西洋絵画名作展 香港芸術館(中国、香港) - 1990年11月3日 (土)~12月2日 (日)
西洋絵画名品展 湖巖美術館(韓国、京畿道龍仁郡) - 1990年9月22日 (土)~10月21日 (日)
西洋絵画名品展 中央日報・湖巖ギャラリー(韓国、ソウル)
来歴
- Provenance:
G. Chabert Collection
M. Hottinguer, 1909
Exhibited:
Tableaux Importants par Hubert Robert & Mme Vallayer-Coster, Galeries Georges , Petit, Paris,1909
参考文献
Collection du Vicomte G, Chabert, Paris, 1909
東京富士美術館
住所:〒192-0016
東京都八王子市谷野町492-1
TEL:042-691-4511
開館時間:10:00~17:00
(16:30受付終了)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合は
開館。翌火曜日は振替休館)
JR八王子駅 北口
始発から12:29発までは西東京バス14番のりばより
・創価大正門東京富士美術館行き
・創価大学循環
「創価大正門東京富士美術館」で下車
12:31発以降は、(ひよどり山トンネル経由)西東京バス12番のりばより
・創価大正門東京富士美術館行き
・創価大学循環
(八日町経由)西東京バス11番のりばより)
・創価大学循環
いずれも「創価大正門東京富士美術館」で下車
京王八王子駅
西東京バス4番のりばより
・創価大正門東京富士美術館行き
・創価大学循環
「創価大正門東京富士美術館」で下車
JR拝島駅 ※1時間1本程度運行
*詳細についてはアクセスをご覧ください。
JR秋川駅 ※1時間1本程度運行
*詳細についてはアクセスをご覧ください。