犬を抱く少女 | ホーファールト・フリンク | 作品詳細
犬を抱く少女
A Little Girl with a Puppy in Her Arms
- 1630年代後半
- 油彩、板で裏打ちされたカンヴァス
- 71.0×57.8cm
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金と宝石で装飾された豪華な白いドレスと淡い緑色のケープに身を包み、白い羽飾りと宝石のついた縁なし帽にベールをつけた少女が、腕に眠る小犬を抱いてこちらを向いている。
左上方から当てられた光によってモデルの顔が効果的に肉付けされており、さらに仄暗い空間のなかに繊細な衣装や宝石の材質感をも浮かび上がらせている。背景の左側には柱とアーチの一部が見え、室内の広がりを示唆している。
この愛らしい少女の半身像は当時人気を博したようで、本作の他に数点のヴァージョンが知られている(モルトケのカタログには5点の同構図の作品がフリンクあるいはその工房の作として掲載されている)。これら複数の作品のうちで最初に制作されたと考えられているハンブルク美術館の所蔵作品と比較すると、全体的に本作の方が質が高いと思われる。それは頭部の羽飾り、頭髪、布、宝石などの細部の質感表現が勝っているうえ、背後の空間の広がりにもより説得力があるからである。したがって本作は、1630年代の後半に描かれたとされるハンブルク美術館の作品より少し以前に、フリンク自身の筆により制作されたものと考えられ、本作を含めて6点現存する同構図の作品群の中では、原作に相当する作品といえよう。
フリンクは1633年、18歳の頃にレンブラントの工房に入り、弟子としてではなく助手として約1年働いた。署名や年記のある最初期の作品は1636年からのものが知られている。その絵画は本作に見るようにレンブラントの強い影響を示すが、次第に色彩は明るさを増し、描写も大まかで形式的な性格のものに変わっていく。この作品を見るかぎり、構図の取り方や褐色の色調、明暗の調子づけなどレンブラントの影響が著しいが、少女の顔の描き方や表情にはレンブラントにはない対象の美化と穏やかさが感じられ、色彩もより柔らかく優美な印象を与えるものとなっている。
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ARTIST
ホーファールト・フリンク
Govaert Flinck(1615-1660)
クレーフェに生まれ、後にアムステルダムに居を定め、同地で没。レンブラントのもとで助手として働き、レンブラント派の歴史画家、肖像画家として活躍。初期の作品は、レンブラントの影響を強くうけていたが、ファン・デル・ヘルストの優雅な様式を取り入れ高く評価された。彼はレンブラントやヨルダーンスなどとともに、当時オランダの画家にとって最も重要な仕事と言われていた新市庁舎のための12点の絵を注文されている。
展示期間:
2022年6月11日 (土)
~8月28日 (日)
展覧会名:
西洋絵画 ルネサンスから20世紀まで
展示室:
常設展示室1
出品歴
- 2003年4月18日 (金)~5月25日 (日)
美の巨匠たち 西洋絵画〜400年〜 福岡市美術館(福岡、福岡市) - 2002年10月5日 (土)~11月4日 (月)
西洋の美・日本の美展 モネ、ルノワール、セザンヌ... 池大雅、谷文晁ほか 島根県立美術館(島根、松江市) - 2002年9月7日 (土)~9月29日 (日)
東京富士美術館の名品 西洋絵画の400年 そごう美術館[横浜駅東口/そごう横浜店6階](神奈川、横浜市) - 2002年7月20日 (土)~8月31日 (土)
夏休み・親子で学ぶ東西の名画展 富士美術館(静岡、富士宮市) - 2002年5月16日 (木)~6月23日 (日)
西洋絵画の400年 ヴァン・ダイク、ターナー、モネ、モディリアーニら巨匠たちの競演 熊本県立美術館・本館(熊本、熊本市) - 2000年10月1日 (日)~12月3日 (日)
西洋名画展—ルネサンスから20世紀 国父記念館(台湾、台北) - 1997年10月14日 (火)~11月30日 (日)
西洋絵画名作展 香港芸術館(中国、香港) - 1992年10月16日 (金)~11月5日 (木)
西洋絵画名作展—ルネサンスから印象派、20世紀の絵画 中国美術館(中国、北京) - 1992年4月15日 (水)~6月7日 (日)
「レンブラント 彼と師と弟子たち」展 Bunkamura ザ・ミュージアム(東京、渋谷区)
来歴
- Provenance:
(Presumably) Sir Paul Methuen (1672-1757), Grosvenor Street, London
His cousin, Paul Methuen (d. 1795), Grosvenor Street, London, in ‘the great room’, by 1761, and subsequently at Corsham
His grandson,Paul, 1st Baron Methuen of Corsham; Christie’s, 16 May 1840, lot 42, as Rembrandt (24 gns. To Jarman)
Lord Vivian; Sotheby’s, 25 Nov. 1970, lot 115
参考文献
London and its Environs described, 1761, Ⅱ,p.91, as Rembrandt John Britton, An Historical Account of Corsham House in Wiltshire. The Seat of Paul Cobb Methuen, Esq. With a Catalogue of his Celebrated Collection of Pictures,1806
C. Hofstede de Groot, A Catalogue Raisonné, etc., Ⅵ, 1916, p.407, no.887g, as Rembrrandt
C.Klemm, The Paintings of the Betty and David M.K koester foundation, 1
東京富士美術館
住所:〒192-0016
東京都八王子市谷野町492-1
TEL:042-691-4511
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(16:30受付終了)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合は
開館。翌火曜日は振替休館)
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始発から12:29発までは西東京バス14番のりばより
・創価大正門東京富士美術館行き
・創価大学循環
「創価大正門東京富士美術館」で下車
12:31発以降は、(ひよどり山トンネル経由)西東京バス12番のりばより
・創価大正門東京富士美術館行き
・創価大学循環
(八日町経由)西東京バス11番のりばより)
・創価大学循環
いずれも「創価大正門東京富士美術館」で下車
京王八王子駅
西東京バス4番のりばより
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「創価大正門東京富士美術館」で下車
JR拝島駅 ※1時間1本程度運行
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JR秋川駅 ※1時間1本程度運行
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