赤い服の女 | ピエール=オーギュスト・ルノワール | 作品詳細
赤い服の女
Young Woman in Red Dress
- 1892年頃
- 油彩、カンヴァス
- 65.4×54.5cm
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本作には、ルノワールが好んだ〈赤い色〉〈美しい服〉〈若い女性の肌〉〈穏やかさ〉といった要素を見つけることができる。また黄色い帽子も大切な脇役で、ルノワールの絵画にしばしば登場するポイントのひとつとなっている。
この絵が描かれたと思われる1890年代前半は、ルノワールがいわゆるアングル風の「古典の時代」から「真珠色の時代」と呼ばれる新しい画風を確立しつつあった時期にあたる。彼はいよいよ晩年の様式の完成に向かって、新たな一歩を踏み出していく。1880年代の「古典の時代」での厳格な線による写実主義はすでに影をひそめ、本作にも見る事ができるように、輪郭線は流れ去り、衣服は震えるような色調を帯び、人物は背景とともに光の中に溶け込むかのようである。そこには、柔らかで、穏やかな眼差しの、まるで果実のような典型的な〈ルノワールの女〉がある。人物と背景は、互いに影響しあい、光の中で融合するかのようで、遠近法は失われ、空間は平面に近づいている。色彩はモノの固有色にしばられずに、色そのものの美しさが画家のテーマとなっている。モノの形によってではなく、色彩の輝きによって見る者に働きかける。
ルノワールの作品に見られるこれらの特徴は、ジャン・クレイが『印象派』の中で分析したように、印象派の画家が伝統的な絵画法を解体して獲得した全く新しい視覚の喜び、ともいうべきものである。なおこの作品は、ベルネーム=ジュンヌ画廊、デュラン=リュエル画廊というルノワール作品を取り扱った最大手の画商から世に出た経歴が残っている。
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ARTIST
ピエール=オーギュスト・ルノワール
Pierre-Auguste Renoir(1841-1919)
フランス中西部のリモージュに仕立屋の息子として生まれた。はじめ磁器の絵付け職人を志すが、後に絵画の道を目指す。20歳の頃、シャルル・グレールのアトリエでクロード・モネやアルフレッド・シスレーらと出会い、印象派の技法をとり入れ、戸外の光に包まれた人々の姿を描いた。1881年のイタリア旅行以降はラファエロ・サンティに傾倒し、「アングル風」といわれた明確な描線と寒色を基調とする画風に転じるが、1890年頃には柔らかみをそなえた彼独特の女性像の確立する。晩年は、南フランスのカーニュに定住し、裸婦をテーマに独自の甘美な世界を画面に創造し続けた。
出品歴
- 2022年3月19日 (土)~5月8日 (日)
ヨーロッパ絵画 美の400年―珠玉の東京富士美術館コレクション― 佐賀県立美術館(佐賀、佐賀市) - 2021年10月23日 (土)~12月26日 (日)
名画でたどる西洋絵画400年-珠玉の東京富士美術館コレクション 栃木県立美術館(栃木、宇都宮市) - 2021年7月9日 (金)~8月29日 (日)
ヨーロッパ絵画400年の旅 珠玉の東京富士美術館コレクション 岡山県立美術館(岡山、岡山市) - 2020年12月15日 (火)~2021年1月31日 (日)
名画を読み解く —珠玉の東京富士美術館コレクション— 沖縄県立博物館・美術館(沖縄、那覇市) - 2020年9月12日 (土)~11月3日 (火)
美の旅 西洋絵画400年 —珠玉の東京富士美術館コレクション展— 宮崎県立美術館(宮崎、宮崎市) - 2020年7月22日 (水)~9月6日 (日)
西洋絵画400年の旅 —珠玉の東京富士美術館コレクション 大分県立美術館(大分、大分市) - 2020年2月20日 (木)~4月12日 (日)
名画を読み解く —珠玉の東京富士美術館コレクション 茨城県近代美術館(茨城、水戸市) - 2019年11月2日 (土)~12月22日 (日)
絵画でランデヴー−東西美術の出逢い− 和泉市久保惣記念美術館(大阪、和泉市) - 2019年9月3日 (火)~10月22日 (火)
ヨーロッパ絵画 美の400年 —珠玉の東京富士美術館コレクション— 山口県立美術館(山口、山口市) - 2019年1月12日 (土)~5月4日 (土)
西方絵画500年 上海宝龍美術館(中国、上海) - 2018年10月23日 (火)~12月23日 (日)
西方絵画500年 清華大学芸術博物館(中国、北京) - 2017年4月29日 (土)~6月25日 (日)
東京富士美術館コレクション −美の東西− 新居浜市美術館(愛媛、新居浜市) - 2015年6月27日 (土)~8月30日 (日)
美の饗宴 西洋絵画の300年―バロック、ロココからエコール・ド・パリまで 八幡浜市民ギャラリー(愛媛、八幡浜市) - 2015年4月29日 (水)~6月21日 (日)
美の饗宴 西洋絵画の300年―バロック、ロココからエコール・ド・パリまで 徳島県立近代美術館(徳島、徳島市) - 2014年4月5日 (土)~6月22日 (日)
フランス印象派の陶磁器 1866-1886 ジャポニスムの成熟 パナソニック汐留ミュージアム(東京、港区) - 2013年12月20日 (金)~2014年2月2日 (日)
フランス印象派の陶磁器 1866-1886 ジャポニスムの成熟 岡山県立美術館(岡山、岡山市) - 2013年5月25日 (土)~9月8日 (日)
ルノワールと20世紀の画家たち 国立故宮博物院(台湾、台北) - 2012年9月29日 (土)~11月4日 (日)
愛、命、絆… 洋画の巨匠たち ~東京富士美術館名作100選~ 福島県文化センター(福島、福島市) - 2011年7月9日 (土)~10月10日 (月)
光を描く 印象派展─美術館が解いた謎─ 青森県立美術館(青森、青森市) - 2010年1月20日 (水)~4月5日 (月)
ルノワール〜伝統と革新 国立新美術館(東京、港区) - 2009年8月1日 (土)~9月27日 (日)
絵画と写真の交差 印象派誕生の軌跡 松本市美術館(長野、松本市) - 2007年7月14日 (土)~11月25日 (日)
印象派とその源流展 モネ、ルノワールとバルビゾン派の巨匠たち──東京富士美術館コレクション メルシャン軽井沢美術館(長野、北佐久郡御代田町) - 2005年4月22日 (金)~5月29日 (日)
印象派と西洋絵画の巨匠 八代市立博物館未来の森ミュージアム(熊本、八代市) - 2003年8月1日 (金)~8月31日 (日)
印象派と近代絵画の巨匠たち展〜バルビゾン派からポップアートまで〜 岩手県民会館・展示室(岩手、盛岡市) - 2002年11月8日 (金)~11月24日 (日)
近代絵画の巨匠たち さよなら美術館 いつか見たあの名画 長崎県立美術博物館(長崎、長崎市) - 2002年9月7日 (土)~9月29日 (日)
東京富士美術館の名品 西洋絵画の400年 そごう美術館[横浜駅東口/そごう横浜店6階](神奈川、横浜市) - 2002年7月20日 (土)~8月31日 (土)
夏休み・親子で学ぶ東西の名画展 富士美術館(静岡、富士宮市) - 2002年6月7日 (金)~6月23日 (日)
近代絵画の巨匠たち〜バルビゾン派からポップアートまで〜 福井市美術館(福井、福井市) - 2002年5月11日 (土)~6月2日 (日)
近代絵画の巨匠たち〜バルビゾン派からポップアートまで〜 鹿児島県歴史資料センター黎明館[第1特別展示室](鹿児島、鹿児島市) - 2002年4月13日 (土)~5月6日 (月)
近代絵画の巨匠たち〜バルビゾン派からポップアートまで〜 浦添市美術館(沖縄、浦添市) - 2000年10月1日 (日)~12月3日 (日)
西洋名画展—ルネサンスから20世紀 国父記念館(台湾、台北) - 1999年7月15日 (木)~8月29日 (日)
ルノワール展 ─近代の眼 北海道立近代美術館(北海道、札幌市) - 1997年10月14日 (火)~11月30日 (日)
西洋絵画名作展 香港芸術館(中国、香港) - 1997年6月14日 (土)~7月7日 (月)
美の交流史をたどる 東西の美 400年展 石川県立美術館(石川、金沢市) - 1995年6月24日 (土)~9月3日 (日)
フランス印象派展—光と色彩の交響曲 サンティジャーナ財団本部、ドン・ボルハの塔(スペイン、サンティジャーナ) - 1992年10月16日 (金)~11月5日 (木)
西洋絵画名作展—ルネサンスから印象派、20世紀の絵画 中国美術館(中国、北京) - 1990年11月3日 (土)~12月2日 (日)
西洋絵画名品展 湖巖美術館(韓国、京畿道龍仁郡) - 1990年9月22日 (土)~10月21日 (日)
西洋絵画名品展 中央日報・湖巖ギャラリー(韓国、ソウル)
来歴
- Provenance:
Galerie Bernheim-Jeune, Paris
Galerie Durand-Ruel, Paris (1920)
Mr.Wihelm Weinberg, Scrasdale, New York (sale : Sotheby & Co., London, July 10, 1957, no.37)
Mrs.Sydney Bright, London, (aquired at the above sale)
Jean d’ Alayer France
Acquavella Galleries Inc., New York
Acquired from the above June 1, 1966
Exhibited :
Amsterdam, Stedelijk Museum, Vincent Van Gogh en zijn Tijdgenooten, 1930, no.265
New York, Wildenstein & Co., Renoir, March-May 1969, no.76, illustrated in the catalogue
東京富士美術館
住所:〒192-0016
東京都八王子市谷野町492-1
TEL:042-691-4511
開館時間:10:00~17:00
(16:30受付終了)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合は
開館。翌火曜日は振替休館)
JR八王子駅 北口
始発から12:29発までは西東京バス14番のりばより
・創価大正門東京富士美術館行き
・創価大学循環
「創価大正門東京富士美術館」で下車
12:31発以降は、(ひよどり山トンネル経由)西東京バス12番のりばより
・創価大正門東京富士美術館行き
・創価大学循環
(八日町経由)西東京バス11番のりばより)
・創価大学循環
いずれも「創価大正門東京富士美術館」で下車
京王八王子駅
西東京バス4番のりばより
・創価大正門東京富士美術館行き
・創価大学循環
「創価大正門東京富士美術館」で下車
JR拝島駅 ※1時間1本程度運行
*詳細についてはアクセスをご覧ください。
JR秋川駅 ※1時間1本程度運行
*詳細についてはアクセスをご覧ください。