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『愛しのマン・レイ展』作品紹介(5)

© MAN RAY 2015 TRUST / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2025 G3773
マン・レイ《アングルのヴァイオリン》1924/76年以降 東京富士美術館蔵 [通期展示]
『愛しのマン・レイ展』に出品されている作品をご紹介いたします。
本作のモデルは、当時の恋人であったキキです。マン・レイは彼女を初めて撮影する際、キキの仕草を見て、「アングルの絵《泉》そっくりだった」と記しています(出典1)。ここでいう「アングル」とは、新古典主義の巨匠ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル(1780-1867)のことです。本作では、アングルの《浴女》に似たターバン姿のキキが後ろ向きに立っており、彼女の腰のくびれはヴァイオリンのフォルムに見立てられています。
「アングルのヴァイオリン」とは、アングルがヴァイオリンを得意としていなかったことに由来する皮肉な表現であり、マン・レイはそのユーモアを引用しています。キキの姿に込められた魅力は、彼女の美しさだけでなく、アングルの影響を受けた芸術的な意味合いにもつながり、観る人はその特別な雰囲気を感じ取ることができるでしょう。

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