
© MAN RAY 2015 TRUST / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2025 G3773
マン・レイ《トーテム》1914年 東京富士美術館蔵 [通期展示]
『愛しのマン・レイ展』に出品されている作品をご紹介いたします。
「トーテム」は北米先住民をはじめとする伝統的な部族が、信仰の象徴とする存在を指す言葉です。
本作は、茶褐色を基調とした画面に、中央には平面的に描かれた人物像があり、アフリカ原始美術を思わせるモチーフが配置されています。人物の胸元には、マン・レイが一時期過ごしたコネチカット州リッジフィールドの風景を思わせる描写も見られます。
1913年の秋、マン・レイは友人とともにハリマン州立公園でキャンプを行い、その際、具象画からの脱却を決意しました。その後、彼は平面的な描写へと移行し、本作もその転換期を象徴する作品の一つです。中心に描かれた人物像について、本展学術監修のフランシス・M・ナウマン氏は、イースター島にあるモアイ像の影響を指摘していますが、詳細は明らかではありません。