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2022.05.10

「旅路の風景展」作品紹介(5)

葛飾北斎《冨嶽三十六景 凱風快晴》天保1−天保3年(1830-32)頃 木版多色刷 横大判錦絵
現在開催中の「旅路の風景展」に出品されている作品をご紹介させていただきます。
凱風というのは、初夏に吹く穏やかな南風のことをいいます。青空にはうろこ雲が浮かんでいます。富士山の赤茶けた地肌の部分に、縞模様のような版木の木目が見えます。この木目がちょうど山肌の様子を表しているようで、この作品の魅力の一つになっています。
通常、浮世絵で使われる版木(山桜の板)の数は5枚程度。版木は無駄なく両面に彫りを行います。摺りの工程は10~20回程度ですが、この《凱風快晴》では、主版1枚、色板2枚の合計3枚の版木、7回の摺りで完成します。一切の無駄を削ぎ落として完成したのがこの《凱風快晴》なのです。このシンプルで洗練された美しさに、構図の面白さを追求した北斎の本領が発揮されています。

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