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2022.03.08

「上村松園・松篁・淳之 三代展」作品紹介(7)

上村淳之(1933-)《月汀》平成10年(1998) 松伯美術館蔵
現在開催中の「上村松園・松篁・淳之 三代展」に出品されている作品をご紹介させていただきます。
今まさに羽ばたこうと羽を広げるシギが描かれています。シギの足の映り込みや浮かぶ桜の花びらより、そこが水辺であることが分かります。青みがかった空間の中に桜の枝が垂れ、月が優しく照らす情景は、静けさの中にも生きる喜びといったメッセージが伝わってくるようです。シギは、淳之が好んで描いた鳥の一つで、唳禽荘には10種類以上のシギが飼われていました。淳之はシギがこれまで日本画であまり描かれてこなかった理由として飼育の難しさを挙げていますが、深井戸を掘り、水路を工夫するなどしてシギの繁殖に成功し、身近で見守ってきた淳之だからこそ、こうしたシギの純粋な美しさに表現し得たといえます。

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