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2022.03.01

「上村松園・松篁・淳之 三代展」作品紹介(5)

上村松園(1875-1949)《わか葉》昭和15年(1940)頃 名都美術館蔵
現在開催中の「上村松園・松篁・淳之 三代展」に出品されている作品をご紹介させていただきます。
窓の外をぼんやり眺める一人の女性、先笄と呼ばれる比較的若い既婚女性に結われていた髪型をしています。髪にはカラフルな鹿の子をかけ、鼈甲の笄と櫛、鼈甲に珊瑚をあしらった簪で飾っています。水色(薄い青緑色)の鮮やかな着物も特徴的で、観る者を清々しい気持ちにさせます。女性の眼は、目頭の部分がやや写実的に描かれ、上瞼の微妙な膨らみによって、さらに彼女の心中を想像させられます。本作が出品された珊々会は高島屋が主催しており、松園は昭和12年(1937)の第3回展から出品。三越主催の春虹会と並んで大変好評だったそうです。松園は個人展などの大掛かりな展覧会で「作家の端的な気持ちが、すかっと出ているようなものを、あまり見かけないのはものたりません」(青眉抄p.289)と語っていますが、こうした百貨店主体の展覧会への出品のほうが、冒険的で、端的な志向を反映しやすい部分もあったのかもしれません。
※後期展示(3月1日〜3月13日)

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