
上村松園(1875-1949)《美人書見図》昭和14年(1939)頃 吉野石膏株式会社蔵
現在開催中の「上村松園・松篁・淳之 三代展」に出品されている作品をご紹介させていただきます。
光量が落ちてきたのでしょうか、本を片手に行灯の灯りを調整しています。緋色の鹿の子柄の着物に柳色の打掛を羽織っています。こうした赤系統の着物に青もしくは緑系統の色打掛という取り合わせは、昭和13年(1938)の《砧》(山種美術館蔵)以降によく見られます。打掛の表裏に補色に近い色を配色しているのも共通しています。ここでは遊女の間で流行り始めたという兵庫髷を結った女性が描かれています。