
《シュミーズ・ドレス》(写真左上)とフランソワ=アンリ・ミュラール《貴婦人の肖像》(写真右上)を比較してご紹介させていただきます。
18世紀半ばの古代遺跡発掘をきっかけに、ヨーロッパでは新古典主義と呼ばれる運動がおこり、その後のフランス革命期に、古代ギリシア・ローマ風の簡素なスタイルが流行しました。ハイ・ウエストで筒形のコットンモスリンなどの透けるほど薄い白生地のドレスは、下着のように見えることから「シュミーズ・ドレス」と呼ばれました。
一方《貴婦人の肖像》も「シュミーズ・ドレス」を身にまとっております。ドレスの袖口の孔雀の羽の眼のような刺繍も特徴的です。肩には防寒用として重宝されたショールを羽織っております。
当時こうした薄手のドレスが流行したことにより、冬季の寒さに風邪をこじらせ肺炎を起こす女性が増えたそうです。
※写真下は《シュミーズ・ドレス》の展示風景