
現在好評開催中の「フランス絵画の精華」展の出品作品を紹介します。(本展は2020年1月19日まで)
ウィリアム・ブグロー(ラ・ロシェル、1825年―ラ・ロシェル、1905年)
《青春とアモル》
1877年
油彩、カンヴァス
192.5×88cm
オルセー美術館
Photo © RMN-Grand Palais (musée d’Orsay) / Stéphane Maréchalle / distributed by AMF
ブグローは19世紀後半に活躍した古典主義絵画の重要な継承者のひとり。好んで取り上げた裸婦像は、多くは神話や寓意を口実に描かれ、批判もされましたが大きな人気を博しました。
1877年のサロンと翌年の万国博覧会に展示されたこの作品では、アモル(愛神)を肩にのせて浅瀬を渡る優美な女が描かれています。ルネサンス以降、抽象的な概念を女の像で表現することが西洋美術の常套のひとつとなりましたが、この若く美しい女もまた「青春」の寓意像として描かれています。肩には愛神アモルをのせています。青春と愛は分かちがたく、愛によって青春は美しく生き生きと輝く、ということを象徴しているのかもしれません。
本作は、理想的な美の表現こそ画家の使命と考えたアカデミーの理念の魅力的な一例といえるでしょう。