
現在好評開催中の「フランス絵画の精華」展の出品作品を紹介します。(本展は2020年1月19日まで)
日本初公開
クロード=ジョゼフ・ヴェルネ(アヴィニョン、1714年―パリ、1789年)
《海、日没》
1748年
油彩、カンヴァス
48.8×64.6㎝
リール美術館
Photo © RMN-Grand Palais / Jacques Quecq d’Henripret / distributed by AMF
ヴェルネは自然観察に基づく写実的な描写によって、装飾的で空想的なロココの風景画を刷新した画家です。この《海、日没》は、ヴェルネがローマに滞在していた時期に描かれた作品で、ヴェルネが描く海景画の典型を見ることができます。
場面はのどかな海の日没。風もなく波もたたない静かな海には大きな帆船のほかに、長く延びたマストが特徴の漁をする小舟などが浮かんでいます。水平線に沈む太陽が照らす暖かなオレンジ色と、天高くかかるほの暗い雲の描き分けなど、光の精妙な描写には、「光の画家」と呼ばれた先達クロード・ロランを研究した成果が見てとれます。日本初公開の作品です。