
現在好評開催中の「フランス絵画の精華」展の出品作品を紹介します。(本展は2020年1月19日まで)
日本初公開
フィリップ・ド・シャンパーニュ
《キリストとサマリヤの女》
1648年
油彩、カンヴァス
114×11㎝
カーン美術館
Musée des Beaux-Arts de Caen, Photo M. Seyve
宗教画と肖像画でフランスの古典主義美術の形成に大きく貢献したシャンパーニュ。《キリストとサマリヤの女》は、かれの娘が修道女となったパリのポール・ロワイヤル修道院のために描かれました。シャンパーニュが模写したラファエロの《椰子のある聖家族》と対になるように描かれたため、円形という形が採用されたのでしょう。
描かれているのは『ヨハネ福音書』の一場面。サマリヤの町の井戸のそばで休息をとっているキリストが、水を汲みに来たサマリヤの女に水を飲ませて欲しいと頼みます。敵対するユダヤ人からそのように言われた女は驚きますが、話をしているうちに、相手が救世主キリストであることを知るという出来事です。端正な人物像、鮮やかな色彩、みずみずしい風景が印象的な本作は日本初公開です。