
12月3日の閉幕まで残すところ3日となりました。「遥かなるルネサンス」展に出品されている作品を紹介します。お見逃しなく。
ポンペオ・デッラ・カーサに帰属
《ヴィンチェンツォ1世・ゴンザーガの冑》
1584年頃 鋼鉄、エッチングによる彫金、黒色と金の賦彩 25 x 33 cm
トリノ王立兵器博物館
Musei Reali di Torino – Armeria Reale
1585年3月、ローマ教皇との謁見(えっけん)を無事終えた天正遣欧少年使節一行は、同年6月に帰路に就き、ヴェネツィア共和国を訪問ののち、ゴンザーガ家が支配するマントヴァ公国を訪れています。時のゴンザーガ家当主はヴィンチェンツォ1世・グリエルモ・ゴンザーガで、使節はここでも大いに歓待されています。
この冑はヴィンチェンツォ1世が所有していた甲冑のひとつで、モノグラムを組み込んだ渦巻装飾などで飾られ、公爵の冠やゴンザーガ家の紋章のシンボルである鷲が表されています。
ヴィンチェンツォ1世は一行に贈り物をしましたが、そのなかには「黄金の飾りが付いた鋼鉄の鎧」があり、一行はその鎧の堅牢(けんろう)さと美しさに感嘆したといいます。その鎧は残念ながら現存していませんが、おそらく、この冑(かぶと)のように光り輝くものだったと思われます。