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「遥かなるルネサンス」展出品作品紹介

「遥かなるルネサンス」展に出品されている作品を紹介します。

ドメニコ・ティントレット(ドメニコ・ロブスティ)
《伊東マンショの肖像》
1585年 油彩、カンヴァス 54 x 43 cm
ミラノ、トリヴルツィオ財団

16世紀後半に流行したスペイン式の衣装を身に着けた、伊東マンショの肖像画です。1585年6月、少年使節一行はヴェネツィア共和国を訪問します。この肖像画は、その際、ドゥカーレ宮殿の大評議会広間に飾るために、元老院によってヤコポ・ティントレットに発注され、のちに息子のドメニコが完成させたものです。
当時の文献から、伊東マンショの肖像画が発注されたことは知られていましたが、絵画の存在は不明のままでした。しかし2014年に、所有者であるトリヴルツィオ財団の調査によってその存在が確認され、大きな話題となりました。修復によって作品の裏面に、「ドン・マンショは日向の国王の甥であり、豊後の国王フランチェスコより教皇聖下へ派遣された大使である  1585年」と書かれていることが分かり、この絵が「伊東マンショ」を描いた肖像画であることが確認されたのです。
ヤコポは当初、大きな集団肖像画を構想して本作品の制作を始めましたが、彼の没後、息子のドメニコが、工房に残されていた絵を、サイズを切り詰めて、単独の肖像画として仕上げたか、あるいは個別に制作していた肖像画のうち、唯一ほぼ仕上がっていた「伊東マンショ」をさらにトリミング加工して仕上げたのではないかと推測されます。
父ヤコポよりも優れた肖像画家であったドメニコは、年若き東洋からの使者の容貌に、厳かで自尊心に満ちながらも不遜なところが一切ない表情を捉えて描いています。鑑賞者を引き付けて離しがたいその視線を通じ、魅惑的な力を伝えることに成功しています。

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