
現在開催中の「花鳥風月ワンダーランド」展も残すところ4日間となりました(12/25まで)。本展の後期展示作品の中から主要なものをご紹介します。
日本人に宿る自然を愛(め)でる美しい心を当館所蔵の美術作品を通して、再確認してみてはいかがでしょうか。
作者不詳
《武蔵野図屏風》
江戸時代前期
紙本金地着色 屏風装(六曲一双)
武蔵野図は、近世初期のやまと絵系諸画派に好まれた構図で、一般に風情あふれる武蔵野の原野を描いたもの。武蔵野とは江戸(東京)の西部に広がる、関東平野の一部であり、古く「万葉集」や「伊勢物語」にもその名がみえ、俗謡に「武藏野は月の入るべき山もなし、草より出でて草にこそ入れ」とある。一面を無数の秋草で埋めつくし、左隻に雲上の富士を、右隻に草の間に沈む月を配す。銀の顔料で描かれた月は、経年変化で黒く変色している。