
開催中の浮世絵展の展示作品を随時ご紹介します(最終回)。浮世絵ファンの方に好評の本展、いよいよ今週末29日(日)まで、お見逃しなく!
三代目中村歌右衛門の絹川弥惣左衛門、三代目中村松江の一味斎娘おその
柳斎重春
天保1年(1830)
「彦山権現誓助剣」の一場面。周防の国(現在の山口県)の国主郡音成に仕える剣術師範、吉岡一味斎の娘お園の立ち回りの名場面。京極内匠は、御前試合で一味斎に負けたことから恨みを抱き、一味斎を鉄砲で暗殺する。敵討ちを誓う家族とお園のもとに、上使として衣川弥三左衛門が来訪し、「殿の剣術師範でありながら暗殺されたのは主君の恥である。早々に屋敷を明け渡せ」と悪口雑言を言い放つ。怒ったお園は弥三左衛門を相手に大立ち回りを演じる。じつはこれはお園の武芸を試すためであり、その手並みに感心した弥三左衛門はお園に仇討免許のお墨付きを渡す。お園は女性でありながら武芸に秀でた「女武道」の代表的な役である。