
開催中の浮世絵展の展示作品を随時ご紹介します。
歌川国芳
本朝武者鏡 白縫姫
安政2年(1855)
本図はおそらく、曲亭馬琴が書いた伝記物語「椿説弓張月」に取材した場面と思われる。白縫姫は鎮西八郎を称した源為朝の妻。夫為朝は裏切り者、武藤太によって窮地に陥ってしまう。武藤太を捕えた白縫姫は、夫の仇を討つため武藤太の身体に何本もの竹釘を打ち込んでじわじわと責め殺す。目を背けたくなるような場面であるが、ここでは残酷な復讐を描くというよりも、武藤太を抱えたまま藁人形をくわえて金槌を振り上げるという、白縫姫の勇壮な姿が強調されている。