
開催中の浮世絵展の展示作品を随時ご紹介します。
歌川豊国
新吉原桜之景色
文政期(1818-30)
吉原は江戸初期の元和3年(1617年)に各地に散在していた遊女屋を一箇所にまとめた遊廓に始まり、明暦3年(1657年)の大火で場所を移動したのちは新吉原と呼ばれた。この作品は咲き誇る桜の下を豪華な衣裳を身にまとった花魁を中心とする一行が数組行きかう新吉原の隆盛ぶりを描いたもの。花魁は最も格の高い遊女であった。満開の桜に加えて遊女たちの華美な衣裳が妍を競うという、まさに遊廓ならではの、絢爛たる光景である。